哀姫

□冷たい瞳
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「はぁ、まったく……」
『、…』

ため息が恐かった。

見下ろすその目が冷めていたことは、今でもはっきりと思い出せる。

「余計な手間かけさせないで」

言葉は心を殺していった。



「あんたなんか…――」

ごめんなさい。
私は、いないほうが良かった。


「それは違う。
優姫がいてくれて、僕は嬉しいよ」

優しい大きな手は、闇を照らす光のようだった。

「おいで。優姫」

優姫は迷わずそれに手を伸ばした。
 

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