ダミュロン期

□episode4
3ページ/5ページ




二人に荷物を持たせ騎士団の門の前にいた






いつも通り門兵に挨拶をし通行手形を見せてから門をくぐる






ユーリとフレンは騎士団に憧れているのもあって、目を輝かせながら中を見回していた



「すっげぇ」

「ここが騎士団…」






興味津々のようだ


















売店までの道のりを行く途中、今日は顔見知りの人たちが見当たらないことに気づく



それに一部の騎士が慌ただしくしているのがやけに気になる



(いつも誰か一人くらいは会うのに)
























売店までパンを届け、いつも通りサインをもらう






『おばさん、今日って何かあったの?』

「ああ、さっき早馬がきてね
 なんでも結界の外に魔物がたくさん出たらしくてねぇ
 積み荷を乗せた馬車が襲われたみたいなんだよ」

『魔物…そっか、ありがとう』






別れを告げて来た道を戻る



やはり顔見知りの人たちには会わない


















(なんか、嫌な感じがする…)















『ごめん、ユーリ、フレン
 今日の相手やっぱ無理』


「「え!!」」


『ごめん!必ず埋め合わせはするから
 先に帰っといて!」



クレアは二人を置いて横道にそれる



どこに行けばいいかわからないまま足だけが動く















目的の人たちはすぐに見つかった



市民街に繋がる門の前で、武装して馬に乗っている












「これよりキャナリが率いる馬車の救援に向かう!」



ヒスームが声を張り上げる



「開門!」



門が音を立てて開き、同時に騎馬が外へと出て行く









(お姉ちゃんが魔物に襲われてる)



手足から血の気が引くのを感じる



先程の嫌な感じの正体はこれか


















出て行く騎馬たちの後方にソムラスを見つける



『ソムラス!』






駆け寄れば向こうはぎょっとした顔でこちらに顔を向ける



「クレア!なんでここに」






有無を言わさず段差を使ってソムラスの後ろに乗る



少し馬が動くが問題ない



「ちょ、お前!」

『お願い、連れてって!
私の弓の腕知ってるでしょ!』


「そんなこと言われても、結界の外に行くのに一般人を連れ行くわけには」




「ソムラス!何してる!」






ヒスームがこちらにくる









「その、クレアが連れてけと…」

『お願いヒスーム、必ず役に立つから』



「危険だぞ」



『わかってる』



「……」









無言でお互いを目をにらみ合う



















しばらくしてヒスームが笑みをこぼす









「あのキャナリの妹に勝てるわけもないか
 ソムラス、乗せてやれ
 ただし命をかけてでも守れよ」

「はっ」






『ありがとうヒスーム、ソムラスも』



「ったく、仕方ねぇな
 乗るなら前だ
 後ろじゃいざという時守ってやれない」






なんだかんだと言いながら馬に乗せてくれる



二人の優しさに胸が熱くなった
























「持ってろ」



ソムラスから弓と矢を渡される



『ありがとう』











渡された弓は家宝をもとに作られたあの変形弓だ



(複製できてたんだ…)



オリジナルを知っているからか、その弓は手に馴染んだ















胸の奥では不安ばかり募っていく



(大丈夫…大丈夫…、お姉ちゃんならそんなすぐにやられたりなんてしない…大丈夫…)









自分に言い聞かせるように手の中にある弓を握りしめた



  
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ