ダミュロン期

□episode4
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ユーリ・ローウェル



フレン・シーフォ



二人の少年は騎士になりたいらしい









以前に一人で剣の鍛錬をしていたところを見つかり、手合せしてくれとやたらしつこくつけ回され遂には受けてしまった



それからというもの、たまに相手をして今に至るのだが



























「俺が下から行ってりゃいけたのに」



ユーリが口を尖らせながら呟く






「合図を待たずに先走ったのはそっちじゃないか」



フレンが顔をしかめ反論する






「お前の判断が遅いからだろ」


「君が焦った結果だろう」


「足掛けなんかに引っかかりやがって」


「それを言ったら君は武器を取られてるじゃないか」









二人の喧嘩はどんどんヒートアップしていく













(まったく、息が合ってるのか合ってないのか…)












いつも喧嘩別れしたかと思えば、次にはしっかり二人で挑んでくる



対称的な二人だが仲は良いようだ









「大体お前はいつもちまちましたことをいつまでも引きずって」


「それは君が粗雑なだけで、そのせいでこの間も」


















仲は良い、はずだ、多分


















『はいはい、もうわかったから
 私、今仕事の途中なんだけど?』



永遠に続く言い合いにうんざりして口を挟むが二人には届かない






『ちょっとー?聞いてますー?』












聞いてない









痺れを切らしてまた木の棒を頭に叩き込む



「いってぇっ」「〜〜っぅ」









『あ・の・ね・ぇ、私そんなに暇じゃないんだけど』

「暇そうにしてたくせに」









無言で棒を構えればすぐさま頭を防御される












じりじりとにらみ合いをしていれば明るい声に割って入られた



「あらあら、ユーリくんとフレンくんじゃない」

『おかみさん!おかえりなさい』









おかみさんの視線がクレアの持つ木の棒にいく



慌てて投げ捨て弁解を試みる






『あの、これは、その、サボっていたわけではなくて、いや、サボってはいたかもしれないけど、わざとではなくて、えっと』

「ふふふ、わかってるわよ
二人がきてるってことは、今日は大分暇なのかしら?」

『うん、今日はあんまり』

「そう、じゃあ今日は配達を終わらせたらそのままあがっちゃっていいわ」

『え、けど』

「たまには羽を伸ばしてらっしゃい」



優しく微笑まれる



『ありがとう、おかみさん』












「クレアはこの後、暇なの?」



フレンが服の裾を掴み期待を含んだ瞳で聞いてくる



『うん、まあ、配達終わらせてからだけど』

「本当か!?剣の相手してくれよ!」



ユーリが、こちらも服の裾を掴んで期待で目を光らせている









まったく、さっきまで喧嘩していたくせに調子の良い奴らだ



思わず口から笑みがこぼれる









『いいけど、配達手伝ってもらうからね』

「任せろ!」「任せて!」





















本当に調子のいい奴らだ



   
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