暇つぶし人生
□ファーストコンタクト
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*Pisces side*
教皇であるシオンに無理矢理参加させられたゲーム…。
誰かの誕生日パーティーの時に酒の所為か、何故か途中から「モテるモテない」と言う話になった。
自分で言うのもアレだが、私はモテる。
女性は勿論、この美貌だ。同じ男からだって何回か告白されている。
で、何が言いたいかと言うとだな…。
その得体の知れない青年を惚れさせれば、このくっだらない(強調)糞ゲームから開放される訳だ。
ならばさっさと終わらせるだけだ。
この私に掛かれば一週間あれば直ぐに落とせる。
サガ達は余りノリ気ではなかったが、別に相手が傷付こうが気にしない。
私がその気にならなければ良いだけだろ?
勝手に片想いさせて、終わらせればいい。
簡単な事だ―…。
『いらっしゃいませ』
並べられている品を見ていると、店の中から青年が出て来た。
白い髪に中性的な顔立ち…。
肌も白いし、細身。
確かに綺麗だ。(私には劣るが…)
「見ない顔だね。何時から働いているんだい?」
微笑み掛けながら私は彼に言葉を発する。
私の言葉に彼は営業スマイルで言葉を返してきた。
『数ヶ月前から此処で働いてます。
店長に腕を認められて、今は店長の代わりに店を営業しています』
「へぇー、あのお爺さんが…。確かに、どの品もとても良い出来だ。君みたいな青年が作ったとは思えないよ」
『お褒めの言葉有り難う御座います』
褒め言葉が嬉しかったのか、彼の白い頬がうっすらと赤みを増す。
それを何処か他人事の様に見ている自分がいる――…
『何かお気に召した物でもありましたか?』
「ん?あぁ…この花瓶を貰おうかな」
たまたま近くにあった花瓶を手に取る。
『有り難う御座います(ニコ』
◆◇◆◇◆◇
『――…』
会計を済ませると、青年は手際よく花瓶を包装する。
私よりも白く細い手。
仕事上仕方がないが、いたるところにある火傷…。
治りかけから新しいもの、お世辞にも綺麗とは言えないその手を見ていると、何故か不快に思った。
痛々しいからか、見ていて気分が悪くなるからか、それとも―…。
『あ、あの…』
青年の聲に、はっ…と我にかえる。
…私は何を考えているんだ…。
『…火を扱う仕事をしていると、どうしても怪我をしてしまうんですよ。
嫌な気分にさせてしまいましたか…?』
私の視線に気付いたのか、傷だらけの手を隠すと、青年は眉を下げて言葉を発した。
その顔はどこか悲し気で…チクリ、と胸に痛みが走る。
「…私は、綺麗な手だと思う…」
気付いた時には口が勝手にそう言っていた…。
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