暇つぶし人生

□世界に別れを
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20年余りの時間は考えれば長い時間だが


思い返してみればあっと言う間の短い時間だ。



そしてそんな俺は白ばかりのこの部屋で


最期を迎える。


傍らで泣きじゃくる小煩い母さんと

それでも40代ですかって聞きたい程若々しい親父と

双子の妹が俺の手を堅く握る。



親父の泣くとこ初めて見るなぁーとか、


顔を鼻水と涙でグチャグチャにして泣く妹。


お前嫁入り前だろう〜そんな顔見せんなよとか、



いろんなくだらない事で頭がいっぱい。



何時もなら腹抱えて笑い転げるのに


今は只、強い眠気が襲って―…




それに耐えられなくて瞼を下ろす。



その瞬間、妹が身体を強く揺する。


おいおい、そんな揺すんなよ…




お兄ちゃんは今から眠るんだぞー。





周りの煩い声が段々と小さくなり


身体をフワフワと宙に浮くような感覚が襲う。



そう言えば、ドラマとか本とかで馴染みのあの言葉…



「今までの思い出が目の前を〜」


ってヤツ。



あれって嘘だな。



今俺の頭の中あるアニメが駆け巡ってるよ(笑)



母さん達には悪いけど、ホント、これマジ。



アレか。死ぬって分かった時からあのアニメの本とかDVD見たりしたからかな?


友達とか俺にグッズ譲ってくれたもんなぁ…



多分、俺の部屋アニメグッズで埋め尽くされるな(笑)



見た奴ぜってぇオタクだって思うよwww







まぁ、そんなこんなで―



皆さん、さようなら。




神様ってぇのが居るのなら、感謝します。



いろいろ面倒な事とかあったケド、

俺なりに幸せでした。




『ありがとう―…』




次生まれ変わるならぁ…うん。


アニメの世界に生まれてみたいな(笑)


一度は経験してみたい。




『聖闘士星矢』の世界にいきたいゎwww





【オッケー。じゃ、決まりね。】



えっ…何。頭の中に響くこのやる気の無い声は…。



【次の世界は聖闘士星矢に決まりー。はい、行ってらっしゃあーい】



え、え?…はぁああぁぁあああぁ?!!







其処で俺は、暗闇の中で1つだけ輝く光の中に包まれた――…















じゃなくて、おもっきし押された。





―世界に別れを…end。

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