暇つぶし人生
□ガラス細工職人
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『有り難う御座いました!』
カロス店から出て来た客2人。
赤髪の青年は受け取った花瓶を大事そうに抱えながら
横を歩く金髪の青年に視線を向ける。
「ミロ…彼をどう思う?」
ミロと呼ばれた青年は先程店の主人から貰った置物から視線を外し、
赤髪の青年を見る。
「どう…って言われてもなー…“普通”としか。カミュは?」
「うむ。私も同じだ。しかし、数ヶ月前の小宇宙は彼に間違いないだろうな…」
ミロの問いに答えた赤髪の青年―カミュは、チラリと後ろの店を見る。
其処には観光客相手に品を売る白髪の青年の姿が…
「ま、今のところ妙な動きはしてないみたいだしなぁー…もし、変な動きがありゃぁそん時は――
ヤルだけだろ?」
キラリと紅い爪を見せながら、ミロは口角をつり上げる…。
その姿にカミュは心の中で溜め息をし、
赤い瞳を細めた。
こんな会話がされていようとは、店の主人である青年は思いもしなかった…。
「ところでカミュよ」
「何だ、ミロ…」
「さっきの奴は男なのか?」
「……女に見えたか?」
「だよなー。やっぱ男か…俺、ああ言うのタイプかもしんない」
「そうか。ミロよ、先に手を出したら―…どうなるか分かっているな?」
「分かってるよ、それくらい」
そして、黄金12人+1人の中で密かにある計画を実行されていようとは…
青年―恭は知る由もしなかった。
それが後に、あんな悲劇を招く事になるとは―…
―ガラス細工職人…end。
カロス…ギリシャ語で『美しい』と言う意味。