blackDragon

□真っ昼間
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世の中は富士山の世界遺産の登録だの、ミスタープロ野球とゴジラの国民栄誉賞の受賞だの騒いでいるがそれより、優子さんの無茶ぶりが怖いのは常日頃の話。

遅刻しかけた日の真っ昼間、私は屋上で小説を読んでいたが、下の校舎からチームホルモンの悲鳴が聞こえた。

何か遭ったんだろうが、屋上にいる私はさっぱり分からない。

別に他校の生徒が侵入してきた訳でもない。

と言うか、他校の生徒が侵入したら真っ先にボコボコにされるのは間違いないだろう。

とりあえず、静かに小説を読んでいると、屋上に繋がる階段のドアが開いた。

現れたのは、部長の優子さんだった。

「おっ、ブラック」と声をかけられたので「はい」と返事をした。

「お前、この屋上で何してたんだ?」と聞かれ「本を読んでいました。 天気も良かったので、偶には外で読んでみようかと…」と私は答えた。

すると優子さんは私が手にしている本を見て「今日は聖書じゃないんだな」と言った。

私は「同じものを読んでいても飽きてしまうので」と答えた。

そして、「先に部室に戻っています」と言って屋上を後にした。

部室に戻ると、ゲキカラが珍しく大人しく椅子に座っていた。

「ゲキカラ、さっき悲鳴が聞こえたんだが…、ゲキカラ何もしてないよな?」と聞くとゲキカラが首を縦に頷いてこう言った「ちーむほるもんがつかっているしちりんがばくはつした」

何ともリアル過ぎる話だと思ったが、幸い怪我人は出ていないらしい。

逆に爆発して怪我人が出なかったのが奇跡的だった。

もし、事故ではなく人的ものだったら本当にめんどくさい事になりそうな気がしてならなかった。

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