LR

□伸暢
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少し休憩しようと私は手を止める

別段忙しい訳ではないが仕事を進める気にはなれず席を立つ

今日のお茶は何にしようか…

ニルギリ、ダージリン、ロイヤルブレンド か、アールグレイ、それに フランボワーズ…

いつもは彼女に決めてもらうが、先程から彼女の姿は見ていない

まぁ、たまには自分で選ぶのもいいかもしれないと、足はキッチンへ向かう

「ん?」

キッチンのドアの前で小さく縮こまりその顔を朱に染めている少年がそこには見えた

本当に少年だったら何も思うところはないはずだが…アイツだとそういうわけには行かない

「ここで何をしている、ロキ」

私の足下からぶんっと顔を上げわなわなと口を震わせながら潤んだ目で私を見つめてくる

「オ、オ、オミ…ィ」

名前を呼ばれても用件を言われなければ分からない

「だからなんなんだ。こんな所に座り込んでっ」

お前は、そう言うはずだった言葉は聞こえてきた女の声によって出てくることはなかった

「や、もう…やめてくれ」

この声は、彼女だ。

「いいんですか?やめて
エクレールさんここ気持ちいいんでしょ?」

「んっ」

ホープとエクレールの如何わしい会話が聞こえてくる

…だから、ロキはこんなところで真っ赤になって座り込んでいたのか

「エクレールさんもういいですか?僕…」

「や、もっと…」

溜まらずドアノブを握りしめ一歩踏み出した

「ちょっ、オミ!」

ロキの焦り声がすぐ後ろで聞こえた

「ぇ…」

が、すぐに間の抜けた声が聞こえた

 
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