LR
□静観
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あれから、どれほどの時が廻ったのだろう
私は、未だ答えにはたどり着くことはない
この世に流れた私は、何も知らなかった
ただあるのは、胸にある熱い何かと
薔薇の面影
脳裏にちらつく色たちを必死に見ないフリをしていたのは、
16の時までだった。
たまたま、捨ててある猫…いや、野良猫かもしれない。
その子を抱え撫でていた時だった。
「ここ、撫でられると気持ちいいだろ。私もここを撫でられるのが好きだったんだ。」
…私も?
私も、私も、私も
“オーディンっ”
閉じている瞼には、薔薇色の貴方が映っている
「どうして、忘れていたんだ…」
大事な、大事な私の主。
私の友
あの胸の熱さは体中を駆け巡る
あの時のことを忘れてしまっていた自分が嘘のように
あの時の感覚が気持ちが甦る
彼女は幸せだろうか…