LR
□通屈
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「ホープ、行ってくる」
彼女の後ろ姿を見てしまうと、つい、細い手首を握ってしまった。
はっとした僕はぎこちない笑顔をつくる
「エクレールさん、いってらっしゃい」
彼女がいないこの家、部屋は静かで音もない
僕は溜息を一つおとすと、仕事をするために自室に向かう
発光するディスプレイをみつめながら、何度もなんども文字の羅列を並べていく
でも、集中できなくてうまくいかない
前はこんな事なかったのにな……
エクレールさんがいなかった時は、ずっと彼女との未来を夢見て仕事に明け暮れたし、
エクレールさんがこの家に来てからは、彼女の側にいるために仕事は減らして、彼女の寝ている間に一気に仕上げていた。
でも、今は何故か焦燥感が体一杯に広がってて…
エクレールさんがいないと不安になる
エクレールさんは今頃…
「オーディンと一緒に……」
待てよ…オーディンと一緒
オーディンと一緒………。
僕とエクレールさんの一緒の時間をオーディンが奪ってるってことだよね
いくら仕事でも、少し…
いや、かなり嫉妬してしまう。
どうにかして…
そうか!