LR
□又候
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もう、ここに住み始めて一週間は経つ
このまま何もせずただホープの世話になるだけなんて、私には許せなかった
寝室から体を伸ばしながら出てきたホープに意を決して口を開く
「ホープ、仕事を探そうと思う」
「え?」
ホープは中途半端に欠伸を止め、私を注視する
そこからが大変だった。
「エクレールさん、何か欲しい物でもあるんですか?」
「僕だけ働いていればいいんですよ。お金は有り余ってます。」
「駄目です。エクレールさんを働かせるなんて、何かあったらどうするんですか…」
「エクレールさんが働く理由なんてないんですよ」
「僕の気持ちにもなってください」
長い時間ずっとホープと話し合った…
必死に『如何に、エクレールさんが仕事をする必要性が無いか』を力説するホープの顔は恐ろしいとも思ってしまうほどだったが、私は負けなかった。
ホープの理論を説き伏せて、働く権利を勝ち取ったんだ。
だから、今は求人情報誌にゆっくりと目を通している
ホープは私が働くことにまだ不満を持っているのか
さっきから拗ねながらも私を後ろから抱き抱え一緒に求人情報誌を見ている
ホープの顔色を伺うことはできないが、見なくても分かる。今はきっと、いや絶対ぶすっとした顔で片頬を微かに膨らませているに違いない。
「僕は絶対、勤務先に女性しか居ない仕事しか認めませんから。」
「そんな仕事あるのか?」頭でそう思いながらもホープの言葉に生返事で返す
「あんまり良いものはないな…」
ホープはあからさまに後ろで嬉しそうに声をあげた
「そうそう、良いものなんてないですよ!やっぱり、仕事なんてするのやめましょう!」
ギロリとホープを睨む
「なら、お前がその手に持っている物で調べてくれればいいだろ?」
ホープは手の中にあるスマホを後ろに隠し「嫌です」とまたもや拗ねた顔つきをする
ネットで調べればもう少し情報を発見できるかもしれないのに…
今のホープに何を言っても無駄か…
パタリと求人情報誌を閉じる
求人情報誌の背表紙にも求人情報が掲載されているのに気づく
その中に、すごく小さくはあるが目の惹かれるものがあった
『助手、資格 不問、未経験者歓迎、募集人数 1名』
他に書かれていたのは電話番号のみ
詳しく書かれていない仕事内容や、雇用体系
明らかに怪しいと思ったが、何故か目が心が惹かれた
「ここにする」
スマホを手に取り、書かれている電話番号を確認しながら押す
「えっ!?エクレールさんここって、どこ………」
ホープの唇に一指し指を置き黙らせる