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□流転
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ーーーあぁ、彼女にやっと、やっと会えるんだ
晴れ渡る青い空を、少し目を細めながら見る青年は、優しく包まれるような風にその白銀を靡かせた
歩みを進める速さはこの道を歩き始めてから変わっていない
だが、この道を進むにつれて私の鼓動は速さを増し抑えきれないほどの熱さを帯びている
もうすぐ、もうすぐなんだーーー
カジュアルな服装に身を包んだライトニング、否、エクレール・ファロンは少し先に見える青年に手に握っていた荷物を放り投げ駆けだした
「ライトさんっ」
一度は目にしたことのあるその姿の彼にエクレールは手を伸ばす
「ホープっ」
彼、ホープ・エストハイムもまた彼女を引き寄せるように手を伸ばす
「お久しぶりです、ライトさん。」
彼の変わらない笑顔にエクレールの心は一気に溶けだした
「久しぶりだ、ホープ。ずっと会いたかった。」
彼女の些細な一言に頬を染め動揺するホープ
「僕だって、ずっと…ライトさんに会いたかった。」
ホープの言葉に嬉しいと思うエクレールだったが、素直に喜べなかった。
「ホープ、私の名前はエクレール・ファロンだ。」
忘れたのか?とホープに困った顔を向けてくるエクレールにホープは焦るしかなかった
「えっ、いやでも、ライトさんの名前を呼ぶなんてっ、その…」
恥ずかしい…そう言って耳まで真っ赤に染めるホープは容姿とは違って幼く見えてしまう
「私が呼んで欲しいんだ。お前に、私の名前を。…ダメか?」
懇願する視線を向ける彼女にホープが断る理由も嫌がる理由も無かった
むしろ、以前よりその美しさに可愛さが増されており破壊力は抜群だったためにホープの心臓は限界に近い
「エクレール、さん」
気恥ずかしそうに自分の名前を呼ぶホープが愛しくて血が頬に上っていく自分を隠そうと、目の前の彼の胸に顔を押し付ける
「っ!エクレールさん!えっ」
取り乱しているホープの胸に顔を擦り付けながらこんなにも逞しく成長したのかと実感する
己の胸に体を預けている彼女、エクレールさんが今まで自分がみてきた彼女とは違い小さくて細く壊れてしまいそうだとホープは思い
彼女の隣に在りたいと願っていたあの頃とは違い、彼女を全てから守りたいと思った
ホープの手が優しく彼女を包む、エクレールもまた彼をきつく抱きしめた