FF13

□僻様
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ガヤガヤと賑やかな店内

五月蝿いのは好きではないが、ここは嫌いじゃない。

笑い声が飛び交うここで、真剣な表情で顔を寄せ合っている集団

そう私たちのことだ。

セラ、ファング、レブロと私というメンバーでいわゆる女子会というものをしている。

女子会と言っても今の私たちの雰囲気は華やかなものではない

「セ、セラ…あいつが女といることなんてよくあることだろう?
気にするな」

セラはスノウが知らない女と一緒にいるとこを見てしまい、落ち込んでしまっている。

「だって、手繋いでたんだよ…」

うぅ…私にはこれ以上気の利くことは言えない。

「そんな気にすんなって!あいつがお前にぞっこんなのは誰が見ても分かるからな!元気だせよ!」

ファングは私と同レベルだ。

ずっと口を噤んでいたレブロがおもむろに口を開いた。

「セラ、スノウが浮気してると思うか?」

セラは少しびっくりした顔をすると、すぐに優しい顔つきになり首を振った。

「ううん、スノウが浮気してるとは思わないよ。スノウはいつでも私のことを一番に考えくれて、大切にしてくれてる。

ただ、少しあの女の子に嫉妬しただけ…」

セラが喋り終えるとレブロは嬉しそうに笑い「そっか」と声を洩らした

「浮気…か」

「どうしたの?お姉ちゃん」

セラが横から私の顔色を伺っている。

「いや、なんでも「はっはーん」

いきなり声をあげたファングにみんな視線を寄せる

「ライト、お前ホープが浮気してたらどうしようとか思ったんだろ?」

「なっ!私は別にそんなこと…は」

確かに少しだけ考えてしまった自分がいるため、歯切れが悪くなってしまった。

「ホープくんが浮気なんてありえないよー、お姉ちゃんのことばっかりなのに」

セラは先ほどより笑顔で私を見ている

「そうだな、あのガキがここにくるときも周りの女に見向きもしないもんな」

「だろぉ?あいつはいっつもライトさん、ライトさんって言ってるからな
ホープに限って浮気なんてありえねーな!それよか、あいつにはできねーだろ」


レブロとファングは、思考も似ているのか…

皆に安心しろと言われて今日はお開きになり、私は「ノラ」を後にした。


あの旅から数年が経ち私とホープは恋人になり、

ヴァニラとファングも帰ってきた。

今は、ホープと二人で暮らしている。

一応、来月に結婚する予定だ。

私は幸せの筈で、ホープが浮気するなんて思ってない。

でも、言いようもない不安が胸の内をずっと漂っているんだ。


長い長い階段をのぼり、呼吸を一つおくと、踏み出した。




つかつかと進む私に反応し扉が開いた





「ホー、プ?」


"ホープくんが浮気なんてありえないよ"

ホープが、浮気?

ホープが、キスしてる…ヴァニラと

私の位置からではヴァニラの後ろ姿しか見えてない、でも、チラチラとホープの銀髪が見える。


その場に立ち尽くして、動けなかった



「…ライトさん?」

ヴァニラの影からホープが顔を覗かせた

その瞳に捉えられた瞬間、私は走り出した。



私を呼ぶ声が聞こえたが、なりふり構わず振り切った。




私は、
不安に取り憑かれて
自分を見失って
周りを見てなかった

だからなのか…

目が醒めた時には、全てから逃げ出していた。
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