LR

□思惑
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「永久に愛でよう」


そう言ったのは誰だったのだろうか…。



形のない今の僕には、ただ目の前の彼女を見守ることしかできなかった。



あいつも、僕も気づいていない、このときは…まだ。


彼女の刃があいつに振り下ろされる

これで、終わる

貴方の使命も、僕の苦しみも…

ありがとう…


「ライトさん」

できる限り微笑んで彼女の名前を呼んだ。

彼女には届くことはないと分かっていても、最後に貴方を想っていたいと思ったから。


ライトさんは動きをピタリと止め、見開いた目でしっかりと僕を捉えた。

「え…」

思わず声を漏らして驚いたが、次の瞬間にはライトさんは地面に叩きつけられ、あいつの攻撃を受けていた。

「ライトさんっ」

声を張り上げても反応はない、彼女にもあいつにも僕の声は届いてないみたいだ。

一向に立ち上がらないライトさんに僕は必死に声をかける。

くそっ、どうしたらっ…

怒りと焦りに、目をキョロキョロと彷徨わせていると僕の傍らから天使が現れた。

分かる…いや、知ってる。この、天使は危険だと。


ライトさんへと舞い降りる天使に、僕の思考は殆ど停止した。

駄目だ、駄目…このままじゃ、ライトさんがっ。

でも、僕になにができるんだ?

声も届かない、手も差し伸べることすらできない僕に。


「やめ…や、やめろっ!」

天使は無慈悲にライトさんに触れた


「うわぁぁぁぁっ」


ぐったりとしたライトさんに近づこうともがきながらも手を伸ばす。





虚ろな目で僕を捉えたライトさんは、僕に「殺せ」と言葉を落とした。


「ど、うし…て?」



僕の手はやっと彼女に触れた。








「これは、主が望んだこと」


僕が何処かで笑ってた…
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