桜色ワルツ
□第八訓
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父は国家錬金術師。
母も表向きは専業主婦だったが、ある程度錬金術をかじっていた。
――1901年、イシュヴァール殲滅戦。
国家錬金術師は、軍の命令に背くことはできない。
父も戦地に派遣され戦争に参加することが決まり、軍人が迎えに来ていた。
『…おとぉさん…行っちゃうの?』
「大丈夫だルイ、私はちゃんと帰ってくるさ。
だからお前は父さんが帰るまで、錬金術を勉強するんだ。
お前は私と母さんの娘だ。
きっとすぐに上手くなる。
オスカーを見習って、頑張れよ!」
そういって、大きな手で強く私の頭を撫でた。
「あなた…
死なないでね」
母は錬金術師を人を殺すことに使うのが許せず、最後まで父が戦地に行くのを嫌がっていた。
しかし、母がどうしようと命令は変わらない。
「…あぁ、行ってくる。
必ず帰るよ」
出ていく父は、どこか悲しそうに笑っていた。
そして、約3か月後、父が亡くなったという知らせが届いた…。