桜色ワルツ

□第七訓
1ページ/1ページ


 ルイは、左腕の着物の裾をあげた。

「…そ、その腕…!!!」



 ルイの腕は、肘のあたりまでの長さの白い手袋で隠してはあったが、そこから肩にかけては鋼鉄の義手であった。



万事屋の3人は動揺を隠せない。


 妙以外は見ていなかったので、驚くのも無理はない。

『機械鎧〈オートメイル〉っていう義手なの。 私の国は戦争が多くてね、義肢が発達してるのよ。神経と接続されてるから、ちゃんと動かせるし』

 無理して笑う彼女の肩には痛々しい傷が残っている。

 妙を含めた4人は、暗い表情になってしまった。



「…ルイも、戦争で腕を怪我したアルか?」


『いいえ、私はね…禁忌を犯した。

 そのための代償として、腕を持って行かれた…』











―錬金術は物質を理解・分解・再構築する科学なり


されど万能の業にはあらず、


無から有を生ずること能わず





何かを得ようと欲すれば、必ず同等の対価を支払うものなり


これすなわち錬金術の基本、等価交換なり





錬金術師に禁忌あり、そは人体練成なり
これ何人も犯すことなかれ―



『私…兄さんと一緒に、病気で死んだ母を、生き返らせようとした。
 それが禁忌であることなんて知っていたのに』


ルイはつぶやくように話し始めた。


『錬金術は、手順を間違えればリバウンドがおきるの。
 度合はさまざまだけど、失敗すると必ず術者に多大なダメージを及ぼす…
 そして私は腕を、兄さんは身体も魂も失った』

「…身体も、魂も…!!!?」







 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ