桜色ワルツ
□第五訓
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妙はルイを連れ、奥の部屋に入って扉を閉めた。
「ルイさん、着物の着方わからないのよね?
たぶんこれからすごく必要になってくると思うから、今から教えるわね」
『ありがとう。よろしくお願いします』
ルイは軍服の上着とシャツを脱ぎ、タンクトップを着た状態に。
必然的に、ルイの左腕の機械鎧も見えてしまう。
「…!!!あ、あの、ルイさん…その腕…」
妙は驚きを隠せない。
『…これ、義手なのよ。機械鎧[オートメイル]って呼ばれてるわ。
私の国、軍事国家だし、近年大きな戦争があってね。地域によっては甚大な被害があった所もあって…その戦争のあとに機械鎧をつける人が増えたの』
「ルイさんは軍人さんなのよね、それで怪我を?」
ルイは一瞬言おうか迷ったが、
『いいえ、私の場合特殊でね。…後でみんなにまとめて話すわ』
とお茶を濁した。
妙に着物の着方を丁寧に教えてもらい、ルイはなんとか着物を着ることができた。
「ルイさん、とっても素敵よ!」
『ありがとう。着物って着るの難しいのね…』
ルイはパステルカラーのブロックチェックの着物を着せてもらった。
「にしても似合ってよかったわ!
洋風な柄だと私にはあんまり似合わなかったし、ルイさんなら…と思って」
『でも…ちょっとこの丈は短くない…?』
ルイが着ている着物は太ももまでの長さのミニ丈。
「大丈夫、すごく似合ってるから安心して」
『(そういう問題じゃないんだけど…ι)』
普段はパンツタイプの軍服だし、正装の軍服もスカートの丈は長めに作られている。
ルイは私服でもパンツが多いため、スースーして落ち着かない。
まぁ私服といっても最近は仕事が忙しく有給を取れることもほとんどなかったので服自体あまり持っていないのだが。
『(大佐なら喜びそうだわ…女性の軍服をミニスカートにする、とか言ってたしね…ι)』
「とりあえず、みんなに見せに行きましょ」
妙に手を引かれ、ルイは部屋を出た。