桜色ワルツ
□第四訓
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お客様というのは、一人の女性だった。
「ルイさん、僕の姉上です」
「志村妙です。事情は弟から聞いております」
かなり美人。
失礼な話ではあるが、地味な容姿の新八とはあまり似ていない。
彼女はきれいなピンクの花柄の服を着ている。
きっと彼女が着ている服のことを“着物”というのであろう。
いわば民族衣装のようなもの。
『ルイ・アンデルトです。本当にありがとうございます。すみませんわざわざ持ってきていただいて』
「いいんですよ、もともと弟に差し入れに来る予定でしたし。
それとルイさん、私に敬語なんて使わないでくださいな。名前も呼び捨てで構いません、私の方が年下みたいですし。
あ、別にルイさんが老けてるとかそういうんじゃないんですよ、私なんかよりも大人っぽいっていう意味で」
妙はなかなかおもしろい人のようだ。
ルイは思わず頬が緩んだ。
『ふふ、じゃあよろしくね、妙ちゃん。
妙ちゃんも私に敬語、使わないでほしい』
「じゃあ、よろしくね、ルイさん」
妙とは良い友達になれるかもしれない、とルイは思った。
「新ちゃん、これ、差し入れね」
「あ、ありがとうございます…ι」
妙は新八に箱を手渡した。
なぜか新八は顔が引きつっている。
「あとルイさんは着物ね。ごめんなさい、私のお下がりしかなくて」
今度はルイに大きな布に包まれたものを渡した。
『何言ってるの、感謝してもしきれないくらいよ!本当に助かるわ、ありがとう』
「そう言ってもらえるなんて光栄だわ。
銀さん、ルイさんが着替えるのでお部屋お借りしますよ?」
「へーへー、どーぞどーぞ」
「で?…おめぇはなんで働かずに弟に給料も払わずだらだらジャンプよんでるんじゃアアアアアア!!!!!!」
「ブホォッ!!!!」
銀時は妙に思いきり蹴られる。
『………ι』
妙の性格の変わりように驚かされるルイだった。