桜色ワルツ
□第二訓
1ページ/1ページ
「…それってあれか、パラレルワールドってやつか?」
『本当かどうかはわかりませんが…
私の住む地球のどこを見渡しても日本なんて国はないはずです。
それにアメストリスという世界有数の軍事国家を知らないのはおかしい。
知らない国なのに言葉が通じているという点ですでに変ですし…」
「つまり知らない世界に来ちゃったってことアルか?」
『そうみたいです…』
だがそうすると大変困る。衣食住ができないのだから。きっと通貨も違うだろうし、生活するのは困難を極める。
「だったら、ここに住むヨロシ」
女の子は、はっきりとした口調でそう言った。
「…神楽、お前今なんつった?」
「だから、コイツがここに住めばいい話ネ」
「よくねーよ!!!ただでさえお前と定春の食費が馬鹿になんねーんだぞ!?これ以上なんて無理にきまってるだろ!!!」
どうやらあまり裕福ではないようだ。
しかし、追い出されてしまってはどうすることもできなくなってしまう。
『…私にできることならなんでもします!ですからどうかここにおいていただけないでしょうか…!』
ルイは必死で頭を下げる。
「だーっ!!!…ったくしょーがねーな…
そのかわりしっかり働けよ!」
『いいんですか…?
ありがとうございます!!!』
渋々だったがなんとか許してくれたのだった。
「よかったアルな!私はかぶき町の女王神楽アル!」
『じょ、女王様でいらっしゃいますか…!?』
「コイツのは自称な。俺は坂田銀時。万事屋銀ちゃんのオーナーな。銀さんって呼んでくれ」
『私はルイ・アンデルトと申します。…その、アメストリスという国の軍人です』
彼女が自己紹介すると、
「軍人ってなんかかっけー響きアル!」
と神楽は目が輝いている。
『か、かっけー?』
「あ、そうだ、お前その敬語やめろよ」
「そうヨ!これから一緒に住むんだし、普通にしゃべったらいいアル!」
敬語は今までの職場では絶対に必要なものだったため、癖になってしまっていた。
『…じゃあ、銀さん、神楽ちゃん、これからどうぞよろしくね』
「「よろしく!」」
「銀さーん、トイレットペーパー買ってきましたよー…?
お客様ですか?」
玄関と思われるほうから音がして、振り向くと何とも平凡なメガネの少年が立っていた。
「違うアルよ。今日から万事屋銀ちゃんの新しい従業員ネ」
「…え?僕がいない間になにがあったんですか…」
「まーあれだよ。かくかくしかじかなんだよ」
「いや全然わかんないんですけど」
『あ、ルイ・アンデルトです。とりあえず、お世話になります』
彼はポカーンとしていたが、何とか「よろしくお願いします」とあいさつしてくれた。