桜色ワルツ
□第一訓
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『…?』
「銀ちゃん!目が覚めたみたいネ!」
ルイが目を開けると、耳の上でおだんごにした髪型の女の子が横にいた。
『あれ…ここは…』
上半身を起こし、周りを見渡すが、とても異様な空間であった。
「よぉ、ようやくお目覚めか。ここはかぶき町の万事屋銀ちゃんっつー何でも屋だ」
目の前の男は、やる気のない目にクルクルの銀髪という変わった風貌。
『カブキ町…?どうしてこんなところに…!?』
「神楽が道に倒れてたのを拾ってきちまったんだよ」
カグラ、というのはどうやら女の子のことらしい。
『私、東方司令部の者です!
どうして道に倒れていたのかわかりませんが…とにかく助けていただいてありがとうございました』
「銀ちゃん、トウホウシレイブって何?」
「あれじゃね、野菜の名前。ラディッシュ的な」
『…あの…もしかして東方司令部をご存じないんですか?イーストシティにある軍の支部ですよ?』
「いーすとしてぃ?なんだそれ…
あんた、どっから来たんだ?」
2人はボケているのではなく、本当に知らないみたいだ。
『…あの…この国の名前ってなんですか…?』
「日本アル。侍の国ネ」
聞いたこともない国名だった。
『…ではアメストリスという国はご存じですか…?』
「あめ…?なんだそりゃ」
『(…!!!おかしい…どうして…!?)』
アメストリスという国は錬金術大国であり、世界有数の軍事国家でもある。いくら小さな国の一般市民であっても名前くらいは聞いたことがあるはずなのだ。
しばらく考え込んで、ルイは一つの仮説にたどり着いた。
『…もしかすると…ここは私の住んでいる世界とは違う世界かもしれません…』