桜色ワルツ
□序章
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『ここは…?』
気が付くと、真っ白な空間に立っていた。
目の前にはいかにも重そうな分厚い扉がそびえたっている。
「はじめまして、錬金術師」
『な、何…!?』
背後から声がしたので振り返ると、そこには半透明の人の形をしたものが座っていた。
「よくぞ訊いてくれました!
わたしはあなた達が“世界”と呼ぶ存在
あるいは“宇宙”
あるいは“神”
あるいは“真理”
あるいは“全”
あるいは“一”
そしてわたしは“あなた”だ」
『…何?どういうこと?なんで私はここに…?』
「よく思い出してみてよ。ここに来る前あなたは何をしていたか」
『…!!そうだ!!!私、兄さんと人体錬成して…
でもリバウンドがおきた…
ねえ、兄さんは!?どこにいるの!?』
「あなたのお兄さんはここにはいないよ。
そしてあなたは…今から真理を見ることになる」
その瞬間、あの重い扉が開き始めた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
『何…!?』
扉からは黒い触手が伸びてきて、体に巻きつき、扉へ引き込もうとする。
『いやっ!!!いやだ!!!離せ!!!いやだー!!!』
「何言ってるの、あなたが望んだものでしょ?
さぁ…いってらっしゃい…」
そして、扉は閉まった。