桜色ワルツ
□序章
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―10年後―
アメストリスのイーストシティにある東方司令部では、普段通り多くの軍人たちが仕事をこなしていた。
『マスタング大佐、こちらの書類の整理終わりました。調印お願いします』
ルイ・アンデルト少佐はいつもと同じようにてきぱきと仕事を終わらせていた。
「流石に仕事が早いな、少佐」
そう言って書類を受け取るのは彼女の上司、ロイ・マスタング大佐。
「大佐はもう少し少佐を見習われてはいかがですか?」
そしていつの間にか横に立っていたリザ・ホークアイ中尉。
「…わ、私も頑張って進めているだろう!」
「ではこの書類の山は何ですか?」
「………」
中尉も相変わらずの手厳しさである。
『た、大佐、とりあえず書庫に資料を戻してきますね』
彼女の手には分厚い資料が。
「ああ、頼むよ」
ルイは分厚い資料を戻すついでに、次の書類整理のための資料を探そう、と考えていた。
―書庫―
『連続爆破事件の資料は…』
書庫にある資料の数は膨大で、探すのにも結構時間がかかってしまう。
『あった!…ん?』
ルイが資料を棚から抜き出すと、間に挟まっていたのか古びれた一枚の紙が落ちてきた。
『これは…
錬成陣?』
かなり複雑な錬成陣。
ルイは優れた錬金術師だが、見たこともない未知の構築式が絡み合ったものだった。
その時。
ルイの足元に錬成陣が赤く光を発しながら広がっていった。
『…な、何…!?眩し…』
そして次の瞬間、彼女の姿はどこにもなかった…。