薄桜鬼×華鬼

□鬼
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私は此処に残ります。

















早苗が何度も一緒に帰ろうと言ったが神無は鬼ヶ里に残るといった。




















「・・・・・千風もありがとう。ずっと私を守ってくっれて・・・・・。千風ももう好きなように生きて・・・・私は・・・・大丈夫・・だから・・・。」




















『・・・・・。』










そんな神無を千風は見つめた。
























「……行こうか?」









 わずかに表情を曇らせて、水羽が神無に声をかけた。












「鬼頭と庇護翼は、職員宿舎の別棟を使ってるんだ」









 つまりは華鬼の花嫁たる神無も、そこでの生活を余儀なくされる。






 水羽の言葉は、神無の心に暗い影を落とす。






 逃げられないのだと言われている気がした。






 日が陰る。






 神無の目に映るくすんだ世界が、ゆっくりと色を失っていった。



















「神無!!」








早苗が何度も呼んでいたが神無は早苗と千風に背を向け職員宿舎の別棟へ足を向けた。















グイッ





















「!?」





















突然神無は腕を掴まれ引きずられるように走った。





























「はぁ、はぁ、・・・・・・・・千風?」




















神無が連れてこられたのはグラウンドから少し離れた雑木林だった。












『大丈夫かい?神無。いきなり走らせて済まなかったね。』













神無は左右に頭を振った。



























『神無。』










千風は神無の肩に手を置いて神無と目線を合わせた。


















『俺は此処に残り神無が幸せになるまで神無を守る。』
















「千風・・・。大・・丈夫だよ?此処には三翼がいるから。・・・・・・私を守ってくれるから・・・・・」





















『ごめんな。神無。』




























「え?」







『俺此処に来る前に仕事辞めて来た。神無を守るため・・・・・。』










「そんな!?」















神無は驚き目を見張った。















『それに俺は神無にまだ言ってない事がある。』















「?」





















『俺がこの時代より昔から来たって知ってるよな?』
















コクンッ












神無は頷いた。




















『俺、



























            鬼なんだ。』























「!?」































『それに俺は三年前早苗さんに言われたからとかじゃなく自分の意志で誓ったんだ「神無を守る」って。』

















「っ!」

















『俺たちの時代の鬼は約束を違えない。だから此処に残る。此処に残ってもいいかい?神無。』











「・・・・・千風。」









神無は涙を流した。









そんな神無を千風は優しく抱きしめた。











『ごめんな。神無を守るって言ったのにこんな所に一人で連れていかれて守れなくて。』



















神無は左右に頭を振った。













『今度は必ず神無を守る。』
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