□rain
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窓から1人で雨を眺める

あふれる涙は雨音のようにこぼれ落ち私の胸を締め付ける


銀時−


心の中で呼んでみた

これで何回目だろう

もちろん返事なんてなくて
いつも残るは虚しさと愛しさだけ

こんな思いになるなら愛さなければよかった
情にほだされなければよかった

どうして私だけこんなに辛いんだろう?




君のせいで笑って
君のせいでたくさん泣いた
君のおかげで愛を信じた
君のせいで









突然ドアが開く



こんな雨降りに誰だろう




「よぉ」


その瞬間
時が止まったみたいだった


目の前にいるのは
忘れるはずがない彼





「銀時…?」



「んだよ、その顔」





「どうして…」


「お前に呼ばれた気がした、なんてな」


「!…呼んだよ、いっぱい…ずっと」



そう、毎日一日中あなたを呼んでいた
やっと来てくれた



「…遅れてごめんな」

そう言って私を優しく抱きしめる
あぁ、懐かしい暖かさ
この腕の中が私の居場所


「銀時…」


「名無し…」


私たちはお互いの温もりを確かめ合うように強く抱きあった


「もうどこにも行かないで…」

着物を握り閉める
すると銀時は笑って言った


「行かねーよ、ずっと傍にいる」



「名無し…」









雨音で目が覚めた




「…ん、」





見慣れた白い天井


ここが自分の部屋であるということを知るのに時間はかからなかった




あぁ…、夢だったのか


雨を眺めるうちにいつの間にか眠ってしまったみたい


ねぇ銀時、最後に何を言おうとしたの?


幸せな夢ほど残酷なものはない




気だるい身体をなんとか起こす


雨はさっきと変わらず降り続いている



抱きしめられた温もりを思い出す


傍にいるって言ったのに嘘つきだ





「銀時…」


なんとなく呟いてみた


答えなんかないのに







すると、ノックもなしに扉が開いた



誰にも会いたくない最悪な気分なのに



こんな雨降りに誰だろう









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