オリキャラ
□麗しき人。
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俺は『恋』なんか興味がなかった。ちっとも。けど、アイツに出会うまでは初めての恋は始まらなかった……。
―月曜日。
――ギャハハ、何やってんだよ!w…―
――ワリィ、ちょいとてこずってな…―
男子生徒が多いこの学園の廊下では、いつものように賑やかだ。
何せ、中間テストが終わったせいでもあるが。俺も当然の如く、浮かれている。あああテストなんか滅べば良い。あと、何でテストなんかあるんだよ。解せぬ!
歩いていると、ふと何かにぶつかった。
「ぁ、ごめんっ……」
下の方で声がした。女の声では無く、微かにか細い男の声。
俺は声の主を見る為に、下を向く。すると、小柄で女みたいな綺麗な肌で顔が整ってる奴が、上目遣いで俺を見つめてきた。
まぁ、こいつは身長が170pぐらいだし、
上目遣いで見るのも無理もない。
…ん?そういえばこいつ…俺と同じクラスに居た奴だよな。確か名前は、竜司…。
そうだ、こいつは竜司良介だ!
あまり喋らないし、笑わない奴だ…。いわゆる無口ってヤツ?
いやいや、そんな事より何か言わないと帰ってしまう…!
「え、あ、いや!大丈夫だし!全然痛くなかったぜ?」
どや顔。
あー自分の顔めっちゃ殴りたいわー。自分のどや顔って何か無意識に苛つくんだわーこれが。
「…良かった」
良介はそれだけ言うと、俯きながら走ってどこかに行ってしまった。おいおい、壁にぶつかってしまうぞ。と注意したかったが、忽然と人混みの中に消えてしまった。
…ま、その内会えるかもな。
しかし、良介は男なのに美形なんだな。
解せぬ。俺なんか、顔中傷だらけだぜ。酷いだろ。剣道部所属なのにな!
さて、屋上で昼寝でもしてるか。
―火曜日。
教室侵入、成功。普通に入れ!だよな。すまん。
とにかく、今日は良介に話しかける。俺、一回も話しかけてないんだよね。だからどんな声かさっぱりわかんねぇ。良介って、人を警戒するような目つきしてんじゃん?
そこなんだよなー。
気軽に話してくりゃ、めちゃくちゃ嬉しいのに。あと、笑わないのもおかしい。
笑う時はいっつも顔を隠して堪えてるんだ。何でだr…
って、目の前に良介発見!
「良介〜、おっはよーー!」
「……おはよう。つか、煩わしい…」
おおっ。僅かだけど、ついに良介がしゃべった!煩わしかったな、すまん!不愉快だったら全力でスライディング土下座してやるよ!
「…えーと。何の用?」
あぁ、そうだった。
「実は、良介に聞きたい事があって」
「…聞きたい、事?」
良介はコテンと小首を傾げる。
そんな仕草が可愛いよー…ゴホン。
「あぁ。と言ってもすぐに終わるからな。
えーっと、良介はさ…友達や家族は居るか?」
すると良介は悲しそうに目を伏せた。
あちゃー、この質問はちょっと急すぎたかな?
「…。両親は殺されたんだ。あいつ等の手で…刃物で切りやがった。勿論、それは昔の出来事だったから両親の顔は良く覚えてない。友達も…転校しても、全然出来なかった」