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□バレンタインのお話
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お店のあるコーナーが色とりどりに飾ってあり、女の子達で賑わっている。2月に差し掛かり、女の子達はあるイベントに必死になっているわけである。
「もうすぐバレンタインですね」
そんなコーナーを通りかかった万事屋一家。ポツリと呟く新八の言葉に前を歩いていた万事屋女子メンバーは振り返る。
銀時を女'子'と表現していいのかは微妙だが。
「何アルか?新八みたいな童貞アイドルオタクには縁ないイベントアルよ?」
「それ酷いよ!!」
「まぁまぁ、銀さんから恵んでやるから元気出しなさい」
新八の肩を叩き明るく笑う。
義理だと分かっていても、母が子にあげるようなものだと分かっていても、銀時のような美人からもらえるのなら嬉しいものである。
思わず目を輝かせ隣にある銀時の顔を見る。
「いいんですか!!」
「ホワイトデーは三倍返しな?」
綺麗な顔にそぐわないゲスい顔をしている銀時を見て、これさえなきゃな…と溜息をつく。
「銀さんからもらえるなら十倍返しでも安いもんだぞダメガネ」
さすがに散々の悪口にイラッとした新八は、少しぐらいからかってもいいだろうと、わざとらしく話題を変える。
「銀さんは誰かにあげたりしないんですか?」
「誰かにあげるくらいなら自分で食うわ」
「そうですか?てっきり土方さんにあげるのかと」
ビクリと肩を揺らし、顔が一気に熱くなるが、それを悟られたくなくて顔を子ども達から反らした。しかし、銀時が土方に好意を抱いているのは万事屋内では衆知の事実である。
「いやいや、あいつになんてあげたらチョコが勿体無い!!チョコが泣く!!大体あいつ甘いの嫌いだし、そもそもあたしからのなんて受取ら…」
「高給取りですから、お返しにいいものくれそうですよねって意味で言ったんですけどね」
「テメー…、そのメガネをチョコフォンデュにしてやろーか!?」
メガネのくせに銀さんの純情もて遊んでんじゃねェよ!!
してやったりみたいな顔をしている新八を殴ると、何やら考え込んでいた神楽が急に大きな声をあげる。
「そうアル!!いいビジネス思いついたネ!!」
よほど自分の案に自信があるのか、腰に手を当て少々興奮ぎみに話始めた。
「銀ちゃんと私がチョコをご自宅までプレゼントォ!!お代はホワイトデーに三倍返し!哀れな童貞野郎からガッポガッポアルよ!!」
「いいな!それ!!」
「なにその怪しい仕事!!?」
「さっそくチラシ作りだ!」
「写真入れたら完ペキアルヨ〜」