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□Missing
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タイでのイベントの仕事を終えた後、僕らはとんぼ返りで日本に戻って来た。
ここ数日のハードなスケジュールで、ユノヒョンも僕も、さすがに少し疲れていた。

二人だけでの、初めての日本ツアーも、もう終盤。
色んな意味で思い入れのある東京ドーム公演が、一週間後に迫っている。

「チャンミナ。今夜は、ゆっくり休めよ」
「はい。ユノヒョンも」

ホテルのレストランで軽めの夕食をとった後、隠そうとしても滲む疲れを引きずって部屋へ戻るヒョンを見送って、僕も早々に自分の部屋へ引き揚げた。

こんな夜、ユノヒョンはきっと、ジェジュンヒョンに電話して甘えるに違いない。
ジェジュンヒョンの前だけで見せる、例の調子で、シャランヘ〜♪とか言っちゃって。



……いいな。
僕も久しぶりに、思いっきりジェジュンヒョンに甘えたい。



なんて、馬鹿な想いがふと頭を過ぎった。

ユノヒョンと違って、僕はもうずいぶん、ジェジュンヒョンと連絡を取ったりはしていない。
もし実際に目の前にヒョンが現れても、どうしたらいいか分からなくなるだけかもしれないのに…。

…疲れてるんだな。

セミスイートの部屋で、簡単にシャワーを浴びた後、ボスッとベッドに沈みながら、僕は一人、静かに流れる時間を感じていた。

窓の外から、高速を走る車のシャアッという音が、規則的に聞こえてくる。
しばらくの間それを聞いていたら、なんだか、無性に誰かと話がしたくなった。

…キュヒョナにでも、電話してみようかな。

ぼんやりとそんなことを考えていたとき。
絶妙のタイミングで、携帯が鳴った。

「ヨボセヨ?」

一瞬、ここが日本だということを忘れて普通に韓国語で出てしまった。
あっ、と思って、言い直そうかと逡巡した次の瞬間、電話の向こうからも、思いがけず韓国語が返ってきた。

「おひさしぶり、マックス。お疲れみたいだね」
「……!」

その声を聞くなり、僕は、ガバッとベッドの上に身を起こした。

流暢だけど、明らかにネイティブではないと分かる発音。
男性とも女性ともとれる、独特の声。
電話越しのたった一言で、相手の状態を見抜いてしまう洞察力。

そして、プライベートで僕のことをマックスと呼ぶ相手。

そんな知り合いは、一人しか思い当たらなかった。

「……お久しぶりです。珍しい…ですね?」

予想外の電話に動揺してしまった僕の表情が、まるで見えるかのように、相手は電話の向こうでクスリと微笑った。

「ふふ。びっくりした?忙しいところに電話して、申し訳ないと思ったんだけど、早く知らせたくて」
「…何です?」
「やっと見つかりそうだよ、君のお探しの迷子ちゃんが」




 
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