暴君アリス
□番外編
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クライネクライネ、
―…聞こえてますか?
僕らのアリスは今日もまた、
汚れてない手を洗っています。
《 禊 》
アリスの指はキレイです。
細くて長くて真っ白で。
だけどアリスは笑うんだ。
その手を取ると、困ったように。
「アイネ、お離し。
―…キタナイよ?」
とてもキレイに見えるのに。
「汚れるから」と、払われる。
「アリス、どうして?」
尋ねても、困ったように微笑むだけで。
一瞬触れたてのひらは、やっぱり誰より優しくて。
クライネクライネ、
―…なんでかなぁ?
アリスはあの手がキタナイって。
僕らを救ったあの手を洗うの。
アリスのあの手は優しいのにね。
「アリス、汚れが落ちたなら、
手と手を繋いで遊びましょうね」
アリス 願って、叶えてあげる。
アイネクライネ、アリスの下僕。
あなたのヨゴレも背負うから。
「ありがとう」
キレイに輝く笑顔だけ、
あなたは守っていればいい。
―…可愛いアイネ、
知らないでしょう?
キミのアリスは罪で汚れて。
誰にもキレイに出来ないんだよ。
アイネ、クライネこの手にだけは。
「触れないで、汚れ過ぎたから。」
願わくばキミらの純潔が、
アリスの汚手に穢されぬよう。
森よ 守って、彼らのことを。
アイネクライネ、アリスの下僕。
ボクのボクだけの可愛い下僕。
「アリス、アリス。大好きだよ」
「―…ん、」
此処は不思議な不思議の森。
−終−