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「先代さんよりキレイだにゃ」
「―…そうかよ。」
アリスに消された帽子屋の、その後釜が俺だった。
満足そうに頷くウサギ。
眠ったままのクソネズミ。
まったく ロクなもんじゃない。
愛したアリスに殺された、
あの帽子屋の仲間たち。
アリスは いつか、
―…アリスでなくなる。
そうして型にハメられて、
こうして役に成り下がる。
ナイフが ほしい。
それで全てを断ち切れるなら。
―…俺に、ナイフを。
ヒトに売るための帽子を被り、
帽子に埋もれて笑って死んでく。
気違い狂った愚かな帽子屋。
自分の姿を失って、
森の一部に成り下がる。
「さぁ、お茶会を始めよう」
黒い瞳がほくそ笑む。
俺も睨んで笑ってやった。
「同族嫌悪じゃ生温い。」
「やっと見つけた意味なのにゃ」
―…アリスに愛して欲しいだけ。
森を崇めるお茶会を。
アリスを讃えるお茶会を。
此処は、不思議な不思議の森。
アリスの愛を欲しがった、
イカレ狂ったお茶会場。
* * *