暴君アリス

□番外編
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ずっとアリスじゃ いられない。





わかっていたけど、ね。

―…信じたかった。











   愛して

アリス。   












《有限アリス》






「…謝らない。殺さなきゃ、セラはエメ・モアになるもの」



森が導くセラの"型"。
その席に座るウサギは今、セラの足元で僅かに震えて。



びくんっ びくっ





お喋り好きの、紅茶好き。
そして何より寂しがり。



それが三月ウサギの定義。



「ひとりぼっちはヤなんだよ」

先代さん、セラはもうすぐアリスでなくなる。
だからあなたに成り代わる。

あなたに代わって茶会を開き、
あなたに代わって狂ってく。





"ナイフを ください。"





 切り裂く ための、

―…セラの、ナイフを。 







「もっと アリスでいたかった。」







黒かった髪は色を失い、

深緑の眼が闇に堕ちてく。



真っ白な耳が雁首もたげ、
そうしてセラは成り代わる。






 「さぁ、お茶会を

―…始めなきゃ。」 






此処は不思議な不思議の森。
三月ウサギのお茶会場。




我らがアリスの 訪れるまで。



* * *

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