暴君アリス

□暴君アリス
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− * * * −




アイネクライネ、アリスの下僕。
クライネ見てる。おいかけっこ。



「―…アイネ聞いてる。森の囁き」



アリス、アリス―…。
僕らはいつも ふたつでひとつ。
ひとつでふたつ。

アイネ分かるの、あなたの苦しみ。

ひとつになれないその苦しみ。



アイネクライネ、アリスの下僕。
アイネクライネ、あなたの下僕。


アリス、アリス―…大好きです。


どうかそのままアリスのまま、
どうか最後はアリスのままで。
僕らのアリスで。
―…僕らだけの アリスで。


アイネクライネ、アリスの下僕…唄を歌ってあなたを守るよ。

此処は不思議な不思議の森。
全ての戯曲が始まる場所。


猫の予言は世界の未来。
ウサギの時計はアナタの時間。

アイネクライネ、アリスの下僕。


紡がれ紡いだ物語。




「―…アリスの夢は我らの戯曲。」



踊り狂って明かす夜。
寂しがり屋は寄り添って。



アリス、アリス。

あなたのもとならそれでもいい。
 アイネクライネ、アリスの下僕。



 僕らの声は聞こえてますか?





アイネ クライネ





ア リ ス の 下 僕 。






「あいして、います。
アリス、あなたと―…永遠を共に」





ねぇ、せめて猫の戯言からは。
ウサギの空虚な微笑みからは。




あなたを守れる から。






























「―…なめられたものだね。

アリスの下僕の片割れ風情が」



「―−‐‥猫、さん。」



影より這い出たその猫は、
紛れようもなく戯言吐きで。



 惑わせる眼が僕を捕らえた。


 ―…あぁ、


















 。









アイネクライネ、アリスの下僕。

 アリスの下僕。

アリス、アリス―…大好きです。



どうかあなたはアリスのままで。
アリスのままで此処を出て。

アイネクライネ、アリスの下僕。
「さよなら」の時が来る日まで。




此処は不思議な不思議の森。
新たな戯曲が始まります―…。




「あなたの好きにはさせないよ。
僕はアリスを守るから」



アイネクライネ、アリスの下僕。

たとえば此処で果てたって。 

* * *

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