暴君アリス

□暴君アリス
7ページ/54ページ






ウサギの時計はアナタの時間。

 アナタの時間はウサギの時計。



奪って、攫って、逃げる から。




 ――アリス、アリス。

始めましょう。 



悲劇と喜劇と恐怖劇。
アナタの望むシナリオへ。




此処は不思議な不思議の森。
不思議の森のその入り口。



 全ての戯曲の始まりの場所。





奏でる音色は アナタ次第。






《02:To White Rabit.》






私を包んだ優しい光。
ちらつく銀はナイフの輝き?



「―…何をしたの?」

望んで縋った私の悪魔。
ウサギの形をした悪魔。

品の良さげな綺麗な顔に、優しげな笑みを浮かべて佇む。


「私はウサギ。アナタはアリス?」


歌うみたいに紡がれる。
ウサギは笑って時計をかざした。



早く、殺して 私の悪魔。



誰かの代わりに生きるのは もう。



「アリス、アナタが嫌いです。
だから、奪って逃げるから。」


「…?」

「迷って、アリス 此処まで堕ちて。
私の、我らの所まで…。」


 「…貴方、まさか、」

「ウサギの時計はアナタの時間。
 永久の時を不思議の森と…。」

「私の―…時間を、」

「―−‐‥。」



悪魔はにっこり微笑んだ。

懐中時計の針が踊る。
見惚れる私の目の前で、悪魔はもう一度呟いた。



 「ウサギの時計は
アナタの時間。」 





迷って、アリス。



此 処 ま で 堕 ち て 。






あぁ―…ダメよ、
これじゃあ死ねないわ。


時が奪われたのならば、血を流すことは出来ないものね。


追ってあげるわシロウサギ。


小さなナイフをお守りに。
ウサギは私を嘲笑う。私も彼を、嗤ってやった。




此処は不思議な不思議の森。
不思議の森のその入り口。




タイトル未定のバカげた戯曲。
少しくらいは踊ってあげる。




「私はリアス。リアス=プレイア」






グランギニョルが 始まります。



私が私で 在るための。

* * *

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ