暴君アリス
□暴君アリス
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ボクは ア リ ス 。
キミのキミらの、ボクのアリス。
アリスでいなきゃ 意味がない。
「結局アリスも縛られる。
誰も森から逃げられない。」
アリス、アリス 聞かせてよ。
「どうして此処に生きてるの?」
《Hopeless World.》
− * * * −
アリス、どんな気分だよ?
森すら壊す気紛れで、俺らの茶会は盛り上がらない。
気紛れの雨が降り続けてる。
窓の外には、出られないから。
「これもアリスの仕業かにゃ?」
「我らがアリスは気紛れだしな」
「あぁ、愛する我らがアリス!最近セラに冷たいにゃ…」
「冗談は発情期だけにしろ」
「ウサギは万年発情期だにゃ」
うかれ三月ウサギの声が、雨に紛れて消えていく。
リズムは歪な音階で、ウサギの庭を濡らしていった。
アリス、アリス。破壊のアリス。
どんな気分で雨を浴びてる?
雨の日は、アンタにとって大切な。
雨の一粒にアンタを重ねる。
嘲り罵れ 我らがアリス。
アンタが雨を望むなら、
俺がアンタの傘になるから。
「俺はアリスにゃなれねぇけどな」
ふっと笑って振り向けば、セラが俺らに茶を出していた。
双子は来ない。好都合だ。
「時間だぁ」
三月ウサギのセ・ラ・ヴィと、眠りネズミのシャン・デュ・クールと。
気違い帽子屋ユーフォリア。
アリスを讃えるお茶会を。
―…森を崇めるお茶会を。
「アンタはバカだよ、
―…破壊のアリス」
だから誰より アンタが愛しい。
* * *