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闇。闇。闇!
堕ちて―…堕ちて、
深い、深い、闇の、底へと、堕ちて…堕ちていく。
私は、ぎゅっと目を瞑った。
闇が、続く。
此処は不思議な不思議の森。
不思議の森のその入り口。
尚濃い闇が私を襲う。
瞼の裏は暗すぎて―…引き上げて見れば笑い顔。
円らな瞳の笑顔があった。
「アリス、アリス。情けないね」
白いローブと緑の瞳。
透けた肌色はとても綺麗。
にっこり笑った緑色は、そのままゆっくり溶けてしまった。
歌が聞こえる。歌が聞こえる。
『アリス、アリス。聞こえてる?
アイネクライネ、アリスの下僕。
あなたは僕らのアリスじゃない。
アイネクライネ、森の精。
僕らはいつでも寄り添って―…。
アリス、アリス。永遠を共に』
私はあなたのアリスじゃない?
じゃあどなた?あなたのアリスを教えてよ。
言えない様な悪態ばかり、浮かんでは消え、浮かんでは消え。
世界はとことん理不尽ね。
生きにくいったらありゃしない。
『アリスの願いは
森の餌―…。』
―…此処は、
不思議な、不思議な不思議の森。
何が起きても不思議じゃない。
影が私を包み込んだ。
視界はますます暗く、昏く―…。
頭の中を 歌が流れる。
割れそう―…割れてしまいそう!
狂った歌の不協和音は。
―…此ア処はリスの不思
議な願
いは不森の思餌議の森アリスの不思夢議
の森はのそ我らの戯の曲入りアリ口ス此処堕ちは不て思議
な不私
の思議の森と不
思ころ議の森までのそのア入り口リス此アリス処は不だ思議いきな不思ら議の森い不思
だ議の森のその入よアリりス口アリ
スアリスアリスア
リスアリス
アリスア
リスアリスアリ
スア
リスアリスアリス
アリスアリスアリス………。
『 ア リ ス ― … 』
『それが、アリスの
―…運命なんだよ?』
森の思考に侵され続け、アリスでなくなる時が来るまで。
狂いそう。狂いそう。
私は私でいたいのよ!!
堕ちる、堕ちる。
闇の底へと堕ちていく。
嫌よ―…闇の中には居たくない。
私は私。私なの…っ
堕ちて―…堕ちて、
深い、深い、闇の、底へと、私は。
何処まで堕ちるのシロウサギ?
あなたの帽子は私の切符。
…まるで鎖ね、シロウサギ。
堕ちる、堕ちる、堕ちていく。
闇の、底へと、
私 は 堕 ち て 。
―…だけど、
「行き着く場所が地獄でも、
後悔なんてしてやらないわ」
――fin.