Wizardry
□ACT:10 Sin×CrimeB
1ページ/7ページ
誰が裁けるだろう。
罪という字を指先で撫ぜる。
―…背徳?
それでも愛してしまった。
いけないこと? それは罪?
「愛の形は自由だ」と、それならばなぜ謡ったの。
神様。どうして引き合わせたの。
―…残酷。だね、
《10:Sin×CrimeB》
夕暮れの式部京。懐かしい風景。
沈む意識。優しい過去。
そして愛しい、子供たちの吐息。
眠る義息子たちに微笑みかけて、昔馴染みの保健医に会釈する。
「うちのモンを頼みやさ」
「おぉ。今度奢れや」
「…お望みの酒を届けにきやす」
ドワーフ。犬のような外見をした、毛むくじゃらの種族。
茶色い毛に白衣。
20年前と変わらない、笑顔。
焼けた空。雲も色付き、一番星は輝きだした。
…変わらぬ風景。変わったのは、主役とシナリオ。
…目覚めは待たない。
私は背を向け、我が子の眠る保健室をあとにした。
きっと、楽しいことばかりじゃァ、ないでしょう。
だけどちゃんと、信じていやすぜ。
―…辿り着いて、くれること。
* * *