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ボクは アリス。
まだ、まだ―…アリスのまま。
誰かのアリスで いられるから。
あの呪いの双子の様に、
ボクはひとつを望みはしない。
ボクはいつまでも
このままのボクで。
「―…いなきゃ・ねぇ?」
破壊のアリスは気紛れアリス。
この気紛れは森を壊して。
壊れた森は自己再生。
寂しがり屋の助けを借りる。
猫の戯言 ウサギの微笑み。
双子の呪いに森の囁き。
心を侵して壊そうとする。
アリスの夢は彼らの戯曲。
アリスの願いは森の餌。
アリスの心は、誰のモノ?
アイネクライネ、アリスの下僕。
ボクのボクだけの可愛い下僕。
アイネ、クライネ、君らの為に。
ボクはアリスで在り続けるよ。
―…だから、
だからお願い 不思議の森。
もう ほ っ と い て、 よ。
時間よ止まれ。さっさと止まれ。
これ以上ボクを侵さないで。
あぁ、それとも 不思議の森。
ボクが 止まれば
い い だ け ・ か な ぁ ?
「此処は不思議な不思議の森。
アリスの願いは森の餌。」
喰わせてあげるよ不思議の森。
人の望みの傲慢さ。
ボクのは特にヒドイから。
精々壊れて 不思議の森。
そして届けて彼の元に。
「―…アイル…。」
そこで、はたと気が付いた。
いつもそこにいるハズだった。
ふたつでひとつのアリスの下僕。
「――…アイネ…?」
アイネクライネ、アリスの下僕。
ボクのボクだけの可愛い下僕。
どうして、どこにも、
ねぇ、いないの?
―…時間よ、止まれ。
少しだけ今、さっさと止まれ。
喰わせてあげるよ不思議の森。
聞こえたでしょう?ねぇ 叶えて。
ア リ ス の 願 い は 。
「気紛れ我侭海色アリス。
わかっているけどダメなんだ」
* * *