暴君アリス

□暴君アリス
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− * * * −




ボクは アリス。



まだ、まだ―…アリスのまま。
誰かのアリスで いられるから。




あの呪いの双子の様に、
ボクはひとつを望みはしない。




 ボクはいつまでも
このままのボクで。 




「―…いなきゃ・ねぇ?」


破壊のアリスは気紛れアリス。
この気紛れは森を壊して。

壊れた森は自己再生。
寂しがり屋の助けを借りる。




猫の戯言 ウサギの微笑み。
双子の呪いに森の囁き。


心を侵して壊そうとする。




アリスの夢は彼らの戯曲。

アリスの願いは森の餌。






アリスの心は、誰のモノ?






アイネクライネ、アリスの下僕。
ボクのボクだけの可愛い下僕。

アイネ、クライネ、君らの為に。



ボクはアリスで在り続けるよ。




―…だから、


だからお願い 不思議の森。


 もう ほ っ と い て、 よ。





時間よ止まれ。さっさと止まれ。

これ以上ボクを侵さないで。


 あぁ、それとも 不思議の森。





ボクが 止まれば



い い だ け ・ か な ぁ ?





「此処は不思議な不思議の森。
アリスの願いは森の餌。」



喰わせてあげるよ不思議の森。
人の望みの傲慢さ。


ボクのは特にヒドイから。


精々壊れて 不思議の森。
そして届けて彼の元に。






「―…アイル…。」





そこで、はたと気が付いた。
 いつもそこにいるハズだった。
ふたつでひとつのアリスの下僕。



 「――…アイネ…?」



アイネクライネ、アリスの下僕。
ボクのボクだけの可愛い下僕。


どうして、どこにも、



ねぇ、いないの?



 ―…時間よ、止まれ。
少しだけ今、さっさと止まれ。

喰わせてあげるよ不思議の森。
聞こえたでしょう?ねぇ 叶えて。



ア リ ス の 願 い は 。



「気紛れ我侭海色アリス。
わかっているけどダメなんだ」

* * *

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