妖逆門 小説
□背中
1ページ/4ページ
あのとき
「しっかりしな」とささやいた
あの背中は――
――――
「いっけえぇ――――っ!!!」
三志郎の叫び声の後、轟音とともに相手の妖に与えられた打撃。
今の攻撃を目の当たりにした相手のぷれい屋は、信じられないというような色を瞳に浮かべている。
「どうだっすごいもんだろ〜!?」
相手の反応を見て得意気に胸を張る三志郎。
少年のそばで事を見守っていた黒い男は、ふぅ、と呆れ顔で息を吐き、
「調子に乗るな、にぃちゃん」
分かってるって!
返事さえも弾んだ声で返してくる三志郎。
不壊はその軽い矛盾に苦笑を洩らすも、すぐに顔から表情を消す。
『分かってるって!』
三志郎の言葉が、頭の中で繰り返される
言ったわりには言葉が弾んでるぞ
本当に分かってんのかよ…?
そう
言うこともできたのだが…
.