妖逆門 小説
□洋菓子
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「にぃちゃん、どうした?」
次のげぇむをはじめるべく、逆世界の入り口を探していた三志郎が、ふっとその場にしゃがみ込んだ。
そして、それに気付いて声をかけた個魔・不壊の方に顔を向け、
「疲れた」
と一言ぼそり。
「疲れた、ってオイ…」
「だって!入り口見つかんねえじゃん!もう1時間は歩き回ってるぞ!?」
まだ30分も歩いちゃいねぇよ、とため息をつく不壊に、三志郎は手足をばたつかせ、
「やだやだやだっ!!どっかで休もーぜ!なあ、休もーよーっ!!」
道行く人が三志郎をちらちら見ていく。
不壊は自分の姿が他人には見えないことを忘れ、慌てて三志郎のそばへすうっと寄ると、
「分かったよ。どこかで休ませてやるよ」
少しの時間なら、ねいどにもバレないだろう。
許可が下りたとたん、三志郎はピタッと騒ぐのを止め、代わりに顔いっぱいに笑顔を浮かべて、
「じゃあ、何か甘いものが食べたい!」
「疲れた」と言っていたはずの少年から出た元気な催促の声に、個魔は少しの間言葉を失った。
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