妖逆門 小説

□Lonely Night..
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虫の声1つ聞こえない夜。月も暗い雲に隠れ、闇だけが辺りを包む。

そんないつまでも変わらない外の様子を、ベッドから上半身を起こしたままじっと見つめる不壊。紅い瞳も、今は闇を映していて暗い。

「……」


しんと静まる部屋。心なしか肌寒さを覚え、もぞもぞと毛布を被ってはみるものの、少ししてから晴れない顔で毛布を取った。
小さくため息をつき、不壊は再び窓の外をちらりと見た。しかし不壊の表情はますます曇るばかり。

不壊はベッドから抜け出し、部屋から出ていった。

暗い廊下を漂うひやりとした空気が不壊の身体を過ぎて行く。寒さに小さく震えた。
しかしありがたいことに、目的の部屋まではそんなに距離を要さなかった。まだ部屋の主は眠っていないのだろう、扉からうっすらと灯りが漏れている。それを見た不壊はノックをすることなく、静かに扉を開けた。


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