銀魂短編

□安心と証拠
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そんな不安を抱えたある日、僕はいつも通り買い物を済ませ万事屋に戻ろうとしていた。
通い慣れたいつもの道、その途中にある団子屋に銀さんと桂さんの姿を発見した。
多分、バッタリ出会ってお茶でもしているのだろう。

このまま真っ直ぐ歩いていけば、2人の目の前を通る事になる。
桂さんに挨拶をして、銀さんにお先にと告げて万事屋に戻ればいいのだ。

それとも、少し遠回りになるが別の道を通って帰ろうか。
2人とも僕の存在には気づいていないようだし、このまま迂回して帰っても特に問題はないだろう。

少し立ち止まって考えていると、1匹の白い猫が目に入った。
その猫が現れたのは自分の元ではなく、銀さん達の所だ。

「おおお、猫ではないか!」
「んぁ、何見てんの?団子ならやらねーぞ」

そんな銀さんと桂さんの会話が耳に入る。
そうか、桂さん動物好きだもんなぁ。
ぼんやりとそんな事を思いながら、ただ2人の様子を見る。
すると、その白い猫は銀さんの膝の上へ飛び乗った。

「うお、何だよ!」
「銀時!羨ましいではないか。
 私とそのポジションを代われ!」
「知らねーよ。んな事ァこの猫に言え!」

立ち上がりそうな勢いで言う桂さんと、迷惑そうに言う銀さん。
だけど、何だかんだで銀さんも悪い気はしていないようだ。
その証拠に、膝の上の猫を優しく撫でている。

その猫は、とても人に慣れているようだ。
現に、銀さんに撫でられてとても気持ちよさそうにしている。

正直なところ、とても羨ましい。

猫に嫉妬などしても仕方がないが、僕は羨ましくて仕方がなかった。
銀さんに撫でてもらうのは、実は大好きだ。
あの大きな手から伝わってくる銀さんの体温は、すごく安心する。

しばらくその場に立ち尽くして銀さんたちのやり取りを見ていたが、ふと我に返った。

(早く万事屋に帰って晩ご飯作らなきゃ・・・)

今銀さん達に気づかれるのは何となく避けたくて、僕は迂回して万事屋に戻る事にした。
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