銀魂短編

□嫁とマミーと16歳
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【2010年・新八誕生日記念】


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今年もこの時期が来た。

今日は8月11日。
そう、明日は新八の誕生日だ。


新八と恋人同士になって、初めて迎える記念日だ。
今年は去年までとは違って、恋人らしく祝ってやりたい。


というわけで、俺は誰にも内緒である一大決心をしている。


新八は買い物へ行き、今の万事屋の中には俺と神楽の2人きりだ。
俺はソファーに寝そべりながら顔にジャンプを乗せ、しばらく昼寝をするつもりだった。

もうすぐ眠りに落ちる、そんなタイミングに神楽が話しかけてきた。


「銀ちゃんは何あげるアルか?」
「・・・何が?」
「新八の誕生日プレゼントの事ヨ」


新八の誕生日、その言葉にふと頬が緩んだ。
プレゼントは、もちろん用意してある。
ただ、それをどうやって渡そうかを決めかねているところだ。

そういうコイツ自身は何を渡すつもりなのだろうか。
何となく気になったので、聞いてみる事にした。


「・・・そういうお前は、何あげんの?」
「私は、花あげるヨ。
 明日定春と一緒に摘みに行く予定アル」
「へぇ、いいじゃん。
 あいつきっと喜ぶぞ」


花をもらって喜ぶ新八の姿が、容易に想像できる。
妙案だろうとばかりに、神楽が胸を張る。


「で、銀ちゃんは何あげるネ?」


興味津々な様子で、俺に探りを入れてくる。
が、まだ今言うわけにはいかない。
ここは適当にはぐらかしておく。


「あー?
 内緒だ内緒。今言うわけにはいかないのよ」
「自分だけ聞き出しといてズルイヨ!
 さっさと教えるアル!」
「ま、明日になったら分かるから」
「・・・銀ちゃんの事ネ。
 どうせいかがわしいもんでも送りつけるつもりアルな?」
「違ェよ。銀さんは超真剣ですから」


昼寝をするつもりが、いつの間にやら言い合いになっていた。
もうすっかり眠気も飛んでいって寝付けそうにない。

そこへ、新八が買い物から帰ってきた。


「ただいま戻りましたー」


玄関の扉がガラガラと開き、新八が入ってくる。

「おかえりヨー」
「あー、ご苦労さん」


新八は買い物袋をいったん台所へ運び、それぞれを片付けているようだ。


『誕生日の話は、するな』


特に取り決めたわけではないが、暗黙の了解として自然と俺と神楽の間にその意識が成立していた。

アイコンタクトをとり、分かっているとお互いに頷く。



「2人して何してんスか?」

台所から戻ってきた新八が、俺達のその姿を見ていたらしい。
不思議そうな顔で、こちらを見ている。


「んあ?別に何もねぇよ」
「そうアル。
 晩ご飯のおかずの条約を結んでただけネ」
「何それ?」
「お互いに譲り合うってこったァ」


俺と神楽で、適当なでまかせを吹き込む。
新八はまだ釈然としないようだが、特にそれ以上追求してくる事はなかった。

そして、新八は何か思い出したらしくボソリと呟いた。


「・・・夏祭り・・・」
「あ?」
「祭り!
 私すっかり忘れてたヨ!」


神楽のテンションが、一気に引きあがる。
それを見ていた新八が、微笑んだ。

祭り、そんなのあるのか?

新八はそんな俺の視線に気づいたらしく、それについて話し出した。


「明日、河原で歌舞伎町の夏祭りがあるんですよ」
「2、3日前から、準備が進んでたの知ってるネ」
「あー、もうそんな時期?」


1年に1度河原にて祭りが開催されるのは知っているが、それが明日だとは思っていなかった。
そして俺の脳内に、ピコーンいう効果音と共に電球が浮かび上がった。


新八の誕生日に夏祭り。


それを利用しない手はないだろう。
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