銀魂短編

□シガラミ
1ページ/4ページ

今日も銀さんはただ飲みに行ったのだと思っていた。


神楽ちゃんが寝た後、僕はテレビを見ながら彼の帰りを待っていた。
現在の時間は深夜の3時。
依然帰って来ない彼の事を思って溜息を吐く。

この時間まで帰って来ないという事は、日が昇ってからの帰宅になるのだろうか。
僕が諦めて和室へ向かおうとした時、あの人はようやく戻って来た。
控え目に玄関の扉がガラリと開いたので飽きれながらそちらへ向かう。


「おかえりなさい」
「んー」

だが暫く待ってみても彼が玄関から動く様子はない。

また酔っ払ってるのかと再度溜息を吐いた時、僕はようやく彼の異変に気がついた。


そこに居るのは確かに銀さんだ。
しかしよく見れば全身の至る所に血が滴っている。
彼の様子がおかしいのはどう見てもこれが原因のようだ。

僕は驚いて慌てて銀さんに駆け寄った。


「ちょ、ちょっと銀さんどうしたんですか!」
「あー、たでェまぱっつぁん」
「何ですかこの血!手当てしますから、早く入ってきてください!」
「んー・・・」


だが生返事が返ってくるばかりで銀さんは全く動こうとしない。
仕方がないので、彼の片腕を自分の肩に回して強引に玄関から動かす事にする。


「あー、別にいいって」
「ダメです!何言ってんすか!」

暗い表情で佇む彼をキッと見やれば漸く観念したようだ。
まだ足取りは重いようだが、取り敢えずはブーツを脱いで廊下へ上がってきた。

僕は彼を支えたまま、一先ず風呂場へ連れて行く事にした。
この間双方無言でゆっくりと廊下を進む。

「手当ての前に、 お風呂に入ってきてください。全身血まみれですし・・・」
「あー・・・」
「身体が辛ければ、洗うの手伝いましょうか?」
「いんや、大丈夫」
「そうですか。何かあったら呼んで下さいね」
「おー」

ダルそうにしながらも大人しく言う事を聞いてくれるようだ。
相変わらずその表情は冴えないが、銀さんは風呂へ入るべく着ている服を脱ぎ始める。

彼の寝巻きを取りに僕は一旦その場を離れた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ