銀魂短編

□お前が特効薬
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日本における6月初旬と言えば、多くの地域では梅雨の真っ只中だ。


ここ江戸の歌舞伎町も御多分に洩れず。
連日雨と曇り続きで暫く太陽の姿を拝んでいない。
そしてジメジメと蒸し暑い空気が纏わり付き非常に不快である。


万事屋内には今、和室から居間まで場所を問わず至る所に洗濯物が干されている。
どちらを向いても視界に入るその数々の洗濯物は見た目が悪いだけでなく、室内の湿度上昇や生乾きの臭いを放つなどして不快指数上昇の原因となっている。


そこで新八は、銀時と神楽へ梅雨の間は洗濯物の減量に協力するようにと通達した。
その際に神楽が面倒がったので、新八は無言で生乾きのタオルを取って来て彼女にそれを嗅がせた。
そして彼女が顔を顰めたところへそのチャイナ服も同じ事態に陥いるんだよと優しく説いてやれば、彼女は漸く納得して頷いた。
それ以来、神楽は服と自分専用のタオル等は極力汚さないようにと注意しているようだ。

一方銀時はと言うと、元より通達には理解を示していたものの何だかんだと洗濯物を増やした。
梅雨に入ってからと言うもの、彼はいつも以上に無気力で気怠そうにしている。

そんな銀時は昨日、ボンヤリするあまり自身の服の上に盛大にイチゴ牛乳を零した。
またその前の日には、着流しの袖をうっかりラーメンのスープへ浸してしまった。

銀時の着流し2着にインナー1セットは新八によって速やかに洗濯され、現在しっかりと和室に干されている。

服を汚す度に銀時はブツブツと文句を垂れながら心底面倒くさそうに着替えをしていたが、新八はそれを洗濯するこちらの身にもなって欲しいと切に思った。



しかしながら、どうやら例年の梅雨時以上に不調な様子の彼が心配でもある。
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