銀魂短編
□色んな意味で、白
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※こちらのお話は、『それはPriceless』と少し繋がっています。
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3月も半ばに入り朝の冷え込みも幾分か和らいできた。
身支度を整えた後、新八は丁度自分と入れ違いで勤め先から帰ってきた姉に挨拶を告げて玄関を出る。
姿勢正しく歩いて職場へと向かう途中、辺りの樹に芽吹いている数々の蕾が目に止まった。
更にあと半月もすれば彼方此方でピンクの桜達が満開を迎えるのだろう。
そしたら今年も皆で花見に出掛けよう。
弁当は勿論、あの子が大好きな酢コンブにあの人の大好きな甘い団子、それとお酒も少々。
ほんの少し先のイベントを思い描いて、新八は頬を綻ばせた。
しかし彼は先を楽しみにする余り、当に今日というイベントの事をすっかり失念していた。