銀魂短編

□好物はお菓子とイタズラ
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銀魂高校のハロウィン、生徒は勿論の事、基本的にはお菓子を配る立場の教員もそれなりに楽しんでいる。

教員達は自らが配ったお菓子を喜ぶ生徒達の顔を見るのが嬉しいようだ。
教員、生徒共に変わり者の数が異常に多い銀魂高校だが、皆基本的に根は良い人間なのだ。

そして教科担当によっては、生徒達は1日に何度もお菓子を貰う機会に恵まれる。
気の利く教員は、自分の担任するクラスの分だけではなく、その日授業に回るクラスの生徒の分のお菓子も用意しているのだ。


3Zの場合、この日はまず1限目の数学と4限目の日本史が当たりだった。


3Zの数学の教科担当は坂本。

坂本は校長同様に、祭り事が好きな性分である。
そして彼はこの学校の教員の中ではリッチな部類に入る。
こういったイベントの場合、大勢の人間へ配るとあらば肝心のお菓子はどうしても貧相になりがちだが、彼に限ってそれはなかった。

坂本が生徒達へ配ったのはチョコレート。
それも1人1枚の板チョコである。

1日の始まりたる1限目からいきなり豪華なお菓子が配られ、3Zの生徒は皆大喜びだ。
そんな素直な3Zメンバーに、坂本もアハハと愉快そうに笑った。



そして日本史の教科担当は桂。

桂が配ったのは、んまい棒。
味のバリエーションが多いのが魅力のこのお菓子だが、3Zの人気が集中したのはめんたい味だった。
端からこだわりの無い者はともかく、それをゲットしたい者が集まって軽い小競り合いが起こった。

だが希望通りのお菓子ゲットして喜ぶ者、競り負けた者共に、最終的には皆やはり嬉しそうだ。


しかしいつもどこかズレている桂、この日も少しズレているようだった。
それというのは、生徒へお菓子を配った目的だ。
他の教員達とは違い、桂はんまい棒の素晴らしさについて生徒達に知ってもらう為らしい。

おかげでこの日の3Zの日本史の時間は全て桂によるんまい棒の演説に費やされる事になった。
全く教科書が進まない授業時間だったが、少なくとも3Zには誰も文句を言う者は居ない。


桂の演説を適当に聞き流していれば、4限の終了を告げるチャイムが鳴った。
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