銀魂短編

□好物はお菓子とイタズラ
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今日は10月31日、ハロウィンの日である。

ここ銀魂高校には他校には無いちょっと変わった習慣がある。

それは、校内でハロウィンを楽しもうというものだ。
ちなみにこれを提案したのは、あのお祭り好きな校長である。

イベント自体は別に大層なものでは無く、友達同士や教員とお菓子のやり取りをするのだ。
教員が生徒にお菓子を配ったり、生徒同士でお菓子の交換をするのが主である。






「HR始めっから全員席につけー」


今日も今日とてやる気のない3Zの担任が教室へ入ってきた。
そんな銀八の覇気のない姿を見るなり、彼の恋人である志村新八はジトリとした目を向けた。

「・・・先生、もうちょっとやる気出したらどうなんですか?」
「んぁー?大人は皆朝に弱ェもんなんだよ志村クン。
 ま、お前がこの場でちゅーでもしてくれるっつーなら話は別だけど?」


ニヤリと笑って銀八が新八に詰め寄った。
片手でその小さな顎を持ち上げて、銀八が自らの顔を近づける。
たった今まで死んだ魚の目をしていた筈なのに、ほんの少し瞳に光が宿っている。

教室内という公衆の面前でとんでもない事を仕掛けてきそうな銀八に、新八は暴れて抵抗する。


「ちょ、ちょっと!アンタ何しようとしてんスか!」
「何って、ちゅーに決まってんだろ。ま、流石にここではそれ以上はしねぇから安心しろ」
「できるかァァァ!バカな事してないでさっさと放して下さいよ!」
「オイオイ、今日はハロウィンだぜ?ウチの高校の数少ない良い風習だから、それに習ってやろうぜ」
「訳が分かんないですって!」



ぎゃあぎゃあと騒ぐ2人だが、3Zのクラスメイトにとってはもうすっかり見慣れた光景である。
各々は自分の席へ戻って2人のやり取りが終わるのを待った。


数分後、やっとHRが開始される。
担任の目はまたすっかり死んだ魚の目へと戻っている。

「分かってるとは思うが、今日はハロウィンだ。全員俺にお菓子を献上するように」
「先生ー。本来ハロウィンは子供がお菓子を貰うイベントアル。だから私に酢昆布寄こせヨ」
「めんどくせーから却下」
「先生。俺ァアンタが職員室の机の引き出しにお菓子を山ほど隠してる事知ってるぜィ。
 それで皆でお菓子パーティーでもやりやしょうや」
「あぁ?アホかお前は。あれは俺の非常用の食糧だっての。1つたりとも誰にも渡さねぇよ」
「先生、お菓子と言わずに私を受け取ってェェェ!!!!」
「いらねぇ。心の底からお断りします」


神楽、沖田、猿飛の順での発言だった。
いつもグダグダなHRがこの日は特にグダグダである。

連絡事項の申し送りという本来の役割を成さないHRに、新八はやれやれと溜息をついて自身の持ってきた飴玉を1つ口へ放り込んだ。
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