銀魂短編

□穏やかな秋の下で
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10月某日の昼下がり。
本格的な秋が訪れてすっかり気候も良くなった。
更に本日は清々しい秋晴れ。
何をするにも捗りそうな良い一日である。

にも関わらず。
暇を持て余す銀時は一人万事屋の中へ篭ってボンヤリと過ごしていた。

暇潰しにジャンプを開いてはみたものの、今週の分はもうとっくに読み飽きている。
テレビだってこの時間帯の番組はどれもつまらないので見る気がしない。
甘味の摂取をしようにも生憎今は飴玉一つすら無い。
食べに出かけようにも、パチンコで気晴らししようにも、財布の中に札が無い。
何も出来ないこの状況に彼は深い溜め息を吐いた。


(ったくよォ。俺の事放ったらかして何なの?
 ・・・新八、お前ェだよコノヤロー)

和室にゴロリと寝そべった銀時が内心悪態付く。
自分も日頃フラフラとパチンコや甘味屋へ赴いたりする事は今は棚に上げておく。
兎に角彼は、自分だけが今ここに取り残された事が不満なのだ。

昼食が済むなり神楽は定春を引き連れて遊びに出掛けた。
これはいつもの習慣なので、まぁ良い。

だが新八はいつもならこの時間はまだここに居る。
買い物に行くにはまだ早いし、家事も一通り済んで息抜きに茶でも啜る頃だ。
二人きりでそれなりのコミュニケーションやスキンシップをし、はたまた情を酌み交わす事だってある。

何より今日と言う日が問題だ。
本日は銀時の誕生日なのである。
今朝、いつもより少し早めに起こしにきた新八がいの一番におめでとうと言葉をくれた。
それから彼を布団の中へ招き入れて早速愛を育んだ。
折角の年に一度の誕生日、それに感けて今日はそんな感じにのんびりイチャイチャと過ごそうと思っていた。

因みに今晩は仕事が入っている。
新八と共にかまっ娘くらぶにてホステスの増員。
だからこそ、時間の空いている今が重要だというのに。


新八も居なければ、暇を潰す術も無い。
銀時はまるで不貞腐れたようにその場で目を閉じた。
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