銀魂短編

□プレゼントは未来
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「なァ、これ行かねぇか?」

そう言って銀八が新八に手渡した二枚の紙。
ここからは少し離れた街にある水族館の入場チケットだ。


「先生、これ・・・?」
「ババアに貰った」

銀八がババアと呼ぶ人物、銀魂高校の理事長たるお登勢。
二人の付き合いは中々に長いらしく、銀八はいつも彼女へ無遠慮だ。
立場を弁える事などなく、普段から面と向かってお登勢をババア呼ばわりしては悪態をつく。
またお登勢もお登勢で、銀八を見かけるなり唐変木だの木偶の坊だの天然パーだのと好き勝手に言い捨てている。

時には口論もするが、基本的にはドライで気楽。
一応互いにある程度の信用もおいている。
そんな間柄の彼らであるからして、銀八が自身の担任するクラスの生徒である志村新八と交際をしている事をお登勢も承知している。


「理事長が?どうしてですか?」
「さァな。ま、どうせ只の気紛れだろ」
「でも本当にいいんでしょうかね・・・」
「気にする事ァ無ぇよ」

根が真面目な新八。
銀八経由とはいえ、一生徒が理事長から贔屓にも似た特別な扱いを受けて良いのだろうかと思い悩む。
確かに一般社会に於いては問題のある事かもしれない。
しかし、銀魂高校というかなり特殊な環境の中ではこのぐらいは罷り通るのだ。


「来週の水曜でどうよ。俺その日から休み取ってんだわ」
「じゃあその日、宜しくお願いします!」
「おぅ。前日はしっかり寝とくように」
「ふふ、まるで遠足みたいですね」

銀八に頭を撫でられながら。
新八はとても嬉しそうに笑った。

早くその日にならないかと心を踊らせるこの恋人が愛しくて、銀八が優しい面持ちを浮かべた。
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