銀魂短編

□夢追う君へ、愛を込めて
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2人を見送った玄関先、新八がとりあえず居間へ戻ろうと扉へ背中を向けたその時、いきなり後ろから抱き締められた。
背後に居るのは間違いなく銀時であり、一回り大きなその身体によってすっぽり覆われてしまう。
突然だが決して乱暴ではない彼の力加減、新八はすっかり安心して身体の力を抜いた。

互いにまだ履き物すら脱いでいないと言うのに、銀時の拘束はなかなか解かれる気配が無い。
それどころか、彼は新八がすっかり気を許しているのをいい事に更にぎゅっと腕に力を込めた。

この状態では、必然的に後ろに居る銀時へ新八の首筋が無防備に晒される事になる。
その白く細い箇所はいつも自然と銀時を吸い寄せた。

そして今、やはり彼はそこへ口付ける。
まず様子見をするようにチロリと舌を這わせてみたが相変わらず新八から拒絶の仕草は無い。
それをこの先了承と見なし、銀時は手始めにちゅうっと吸った。

薄っすら現われた桃色の痕を銀時が親指でなぞる。
この自分の紅い痕をもっと彼に刻みたい。

少し角度を変えて再び新八の首筋へ吸い付いた。


「銀さん・・・」
「うん、分かってる」

ずっと腕の中で大人しくしていた新八が戸惑ったように声を出した。
だが彼の言わんとする事は、銀時には既にお見通しである。
サラサラと彼の髪を梳いてもう一度抱き締め直した。


「ちゃんと布団でしような」

銀時が新八の耳元に優しいトーンでそう囁く。

新八はそれにコクリと大きく頷いた。
元よりなし崩しの立位は好まない新八、この状況が故に銀時はここで致すつもりではないかと不安になったようだ。
だが違うと分かって安心するや否やクルリと身体の向きを変えて上目遣いで銀時の顔を見上げた。

その頬には早くも少しの珠が灯り、目には確かな熱が篭っている。


こんな蒸し暑い夜の玄関先、一見ムードなんて何も無いように思うかもしれない。
それでもこうして新八をちゃんとその気にさせるところが銀時の雰囲気作りの上手さであり、器用な一面である。


///

軽いキスを交わし、2人寄り添って和室へ戻って来た。

ここへ敷かれたままだった一組の布団。
その上へ新八の身体を横たえて、すぐさま銀時が覆い被さった。

新八はこうして、銀時の身体によって身動きを制限されるのが嫌いではない。
身体の上へずっしりと感じる銀時の重みや体温に、彼の存在をより実感出来て安心するのだ。


「銀さん」
「んー?」

新八がまた甘えた調子で銀時を呼ぶ。
銀時がよしよしと頭を撫でてやれば、新八がそっと目を閉じた。

もっともっと自分に甘えて欲しいので、銀時は彼を全力で蕩けさせようと努める。


新八の薄く形の良い唇は触れる度に夢中になる。
そして軽いキスは新八も好きらしい。
最近ではもっとして欲しいと自らおねだりしてくれる事もしばしばなのだ。

こうしてキスに込める愛情は、ちゃんと相手に伝わるものだ。
言葉には表しきれない想いを交わしたくて、2人は何度も何度も唇を重ねる。

そのリップ音も互いの耳に心地よい。
唇の感触だけでなく聴覚もじわりじわりと2人を盛り上げる。

銀時が再び新八の細い首筋へ顔を埋めたので、新八は少し顎を上げてその箇所を彼へと差し出した。
先程つけた薄い痕はもう殆ど見えなくなっている。
次はそう簡単には消えてしまわないようにと銀時が強く吸った。
今度はくっきりと浮き出た紅い印に、銀時は満足気に口角を上げた。

そんな銀時の首の後ろへ新八の腕が回った。
抱き寄せる新八のその仕草は、またキスをねだっているらしい。
甘えていながらも抜け切らないその控え目さに銀時が楽しそうに微笑んだ。

彼の所望通りまた唇を交わせばどんどんその頬へ赤みが差してくる。
こうして確実に心身に熱を帯びてきた新八は素直で愛おしい。
それに煽られるようにして、銀時も少し頬を染めた。


銀時の手が新八の寝巻きの合わせを緩める。
現われた胸元はやはり白くて美しい。
きめ細かい肌をスルリスルリと撫で、銀時はまた唇を落とした。

その擽ったさに新八が身を捩った時、一瞬の痛みを感じた。
強く吸われたそこに、新八は彼がまた所有印をつけてくれたのだとすぐに理解した。


「ふふっ」
「お?何か余裕そうだな」
「そんなの、今だけですよ」
「それもそうだな。
 今から俺がめちゃくちゃに溶かしちまうもんなァ?」

ニッと笑って戯ける銀時に新八も笑って「はい」と頷いた。
こうしてさっきからずっと新八の様子が穏やかなので、銀時はもう内心浮かれっぱなしだ。

「・・・何つーか、ホントたまんねぇ。
 抱きまくりてぇけど、怪我に障らねぇように気ィつけねぇとな」
「そんな重傷じゃないんで、少々は大丈夫ですよ?」
「ダーメ。せっかく出血が止まってんのに、傷が開いたらどうすんだ」

そう言って銀時がわしわしと新八の頭を撫でる。
こうして自分を気遣ってくれる彼が本当に愛おしくて、新八は感謝の気持ちを込めて自ら銀時の唇を啄ばんだ。



銀時の舌が、新八の胸の突起へ這う。
温かくぬめるような感触に新八の甘え方が変わってきた。
目を瞑って眉根を寄せ、時折ピクリと身体が跳ねる。
どうやらそのままでは手元が何となく心許ないようで、目の前の銀時の髪をそっと梳く。

「・・・っ」

だがまだまだ声を漏らさないようにと我慢しているようだ。

ツンと立ち上がったその突起は、彼が今快感を得ていると正直に主張しており愛らしい。
もう一度ぬとりと舐め上げてやれば髪に埋められている手に僅かに力が篭った。

新八の華奢なこの身体は、銀時がこうして触れる度にどんどん敏感さを増してきている。
そして恐らく本人は無自覚だろうが、チラリと物欲しそうな視線を銀時へ向けた。

新八は今日一日中ずっと素直だったのだから、自分も素直に求めに応じてやろうと銀時は思う。
互いに熱く舌を絡め合いながら、新八自身へそっと触れた。

それはもう十分熱く育っている。
先端から滲む彼のトロトロの液は親指でそこへ塗り広げてやる。
こうしてやわやわと触れられるのが気持ち良くて、新八の舌の動きがとてもぎこちなくなった。


深いキスを一旦中断して顔を覗いてみれば、新八は何かを訴えた気な表情だ。

「んー?」
「んーん、何でも・・・」
「・・・気持ち良いって、顔に書いてあんぞ」

銀時がニヤリと笑って空いた手の親指で新八の目元をなぞった。
てっきり新八から強がって否定する返事が返ってくるかと思ったが、意外にもそれはなかった。
ズバリと言い当てられた事に対して、彼はウンと頷いて肯定したのだ。

「あぅ、気持ち良い・・・」
「・・・お前。いつからそんなに煽るのが上手くなったの?」
「僕、そんな事、してない・・・」
「いんや、十分してるよ?
 おかげで銀さん、もうギンギンに滾ってんだけど」

実際、新八の一連の仕草によって銀時自身が一気に育ちきった。
言葉通り気持ち良さそうに腰をくねらせる新八を眼前に、銀時の笑みからは余裕が消えつつある。

そしていよいよ新八から少しの声が漏れ始めた。
小さく聞こえる甘い声、もっとしっかりと聞きたい。
銀時が自らの熱い舌をそこへ這わせた。

「あっ、ゃ・・・」

途端に喘ぎ出した新八。
思った通りの良い反応に銀時の愛撫も徐々に激しさを増した。
手の動きに加え、新八自身を口内へ導いて舐めたり吸ったりを繰り返す。

そして新八の身体がより一層はねた時、彼の白濁が放たれた。


「銀さん、ごめんなさ・・・」
「んー、ごっそーさん。早かったな」
「・・・はい」
「んじゃ、もっと気持ち良い事しような」

そう言うなり、銀時がいつの間にか手元へ用意していたらしいローションを取った。

新八の好みにより何度もリピート購入している、温感タイプのそれ。
中身をたっぷりと手に出して新八の蕾へと塗り込める。
液体と共に滑る銀時の指が擽ったくて新八がふふっと笑った。

「そのまま楽にしてろ」

優しく囁く銀時の言葉通り大人しくしていると、また唇を啄ばまれた。
ちゅっちゅと触れ合う唇に夢中で新八の身体から力が抜けきったその時、蕾の中へ銀時の指が進入する。

自分の中でゆっくりと動く彼の指にまた僅かに新八の腰がくねる。
銀時の太くて長い指に敏感な箇所を摩られて、彼の表情はとてつもなく色を帯びた。

2本、3本と増やされていく指へ新八の身体はどんどん順応する。
そして強まってくる快感をやり過ごそうと、積極的に自ら銀時の唇を何度も塞いで彼の反応をねだった。


こうして正に自分の求めた通りの具合な新八に、銀時の理性はいよいよ崩れ去ろうとしている。
もうずっと膨張したままの自分自身を新八の腰へ押し付けて揺する。

体内で動く指と押し当てられた銀時の熱くて硬いそれ。
与えられている快感にプラスしてこんなに余裕の乏しい様子の銀時も感じてしまえば、新八の理性ももうあまり役に立たない。

喘ぐ声に交じり、小さな声で訴えかけた。

「・・・銀、さん、僕もう欲しい・・・」
「ん、俺ももう限界」

そっと新八の体内から抜き去った指はローションで糸を引いた。
それすらも今の銀時にとってはやけに淫猥に映る。
早く、トロトロの新八と一つになりたい。

けれども、怪我を負っている彼への気遣いを忘れてはならない。
コツンと額同士をくっ付けて静かに問い掛けた。

「・・・お前が一番楽な体位でしてぇんだけどよ、どうしたい?」
「んぅ、いつも通りで、大丈夫です」
「正常位でいいの?」

確認をする銀時はあくまでも真剣だ。

真っ直ぐに自分を見つめる彼へ、新八は赤い顔で首を縦に振った。
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