FINAL FANTASY XV

□00:プロローグ
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「ミュラ、一緒に学校に行こうよ。」

「…嫌。面倒臭い。」



ヒュウが差し出した手を払いのけ、ミュラは其の横をスタスタと通り過ぎた。


此でミュラが登校を拒否したのは何度目だろうか。

日増しに他者への関心を無くしていくミュラに、ヒュウと両親は頭を抱えた。


ミュラは決して勉強が出来なくて登校を拒否している訳ではない。

寧ろ其の逆、頭が良過ぎたのだった。

どんな書物でも1度読めば全て記憶し、多くの研究論文に目を通しては様々な考察を立てて両親と共に話をしたりしていた。


最初こそ天才であるミュラに両親は喜んだが、自分と知能水準が合わないと他者に無関心になっていく様子を見て今現在は危機感を感じていた。


学校は勉強だけではない。他にも色々学ぶ事がある。


そう諭そうとしても、ミュラは最初の何日かでもう全部解ったと言うばかりで思いは伝わらなかった。

今では部屋に籠り、新しく発表された研究論文を読み耽るか何もせずにボーッとしてるかになっている。




「ヒュウ、御免ね。折角学校に誘ってくれたのに…。」

「大丈夫だよ、お母さん。」


払いのけられた手を包み込む様に握りながら、母親はヒュウを見つめた。


「然し…どうしたものか…。此のままではミュラが歪んだ人間になってしまう…。」

「……あのね、お父さん。僕、御願いがあるんだ。」


ヒュウは耳打ちをする様な仕草で、父親にその「御願い」を伝えた。

僕達は双子だから、此ならミュラも興味を持つかもしれない、と言う言葉を添えて。


「…解った。知り合いに詳しい人が居る。其の人にあたってみよう。」


其を聞いたヒュウは嬉しそうに笑いながら、1人で学校へと向かって行った。



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